酒造好適米「吟風」「彗星」向けの品質目標、生育指標および栽培技術


[要約]

[キーワード]

[担当]道立上川農試・研究部・栽培環境科、道立中央農試・生産研究部・水田・転作科
[代表連絡先]電話0166-85-2200
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・普及


[背景・ねらい]

[成果の内容・特徴]

  1. 「吟風」「彗星」のタンパク質含有率や千粒重、心白発現は年次間や産地間の変動が大きい(図1)。特にタンパク質含有率および千粒重は優先すべき改善点である。
  2. 品質目標を吟風はタンパク質含有率6.8%未満千粒重24g以上、彗星はタンパク質含有率6.8%未満千粒重25g以上として、これを満たす時の標準的な「吟風」「彗星」の生育を示す生育指標は、いずれの品種も幼穂形成期茎数が520本/m2、穂数が500本/m2、総籾数は「吟風」28千粒 /m2「彗星」27千粒 /m2、精玄米重は「吟風」590kg/10a「彗星」610kg/10aとする(表1)。
  3. 出穂早限算出に利用される出穂前24日以降30日間日最高最低平均気温(日最高気温と日最低気温の平均から求めた平均気温)はタンパク質含有率および千粒重と相関があり、品質目標のため「吟風」20.5℃以上、「彗星」20.0℃以上が必要である(図2)。
  4. 上記の気温を満たし、さらに「吟風」「彗星」の収穫適期である出穂後の平均気温積算温度1050℃から1100℃を確保できる出穂日は、上川中央部で7月6半旬、空知中南部で7月6半旬から8月1半旬である(図3)。この出穂日に対応する移植日は、上川中央部において成苗を移植する場合で5月6半旬、中苗で5月20日頃、空知中南部で成苗の場合は5月5半旬〜6半旬である。苗の種類の選択あるいは移植日の調整は、「吟風」「彗星」の千粒重の向上およびタンパク質含有率の低減に有効である。
  5. 施肥試験の結果から、窒素ならびに加里の施肥は標準量が適当である。
  6. 側条施肥の導入は、タンパク質含有率低減が優先される場合に有効である。
  7. 栽植密度は初期生育不良の条件において、タンパク質含有率低減が優先される場合、機械移植基準上限まで高めることが有効である。
  8. これらの技術を組み合わせることにより、「吟風」「彗星」の千粒重の向上およびタンパク質含有率の低減が実現し、道産酒造好適米の品質が改善する。

[成果の活用面・留意点]

  1. 酒造好適米生産現場に活用する。
  2. 移植日を調整する際には、苗を老化させないよう育苗計画に留意する。

平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「酒造好適米「吟風」「彗星」の栽培特性と品質改善対策」(普及推進)

[具体的データ]

[その他]




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