小豆加工適性(煮えむら、煮熟臭)の評価法と変動要因
[要約]
煮えむらの発生要因は、粒大のばらつき、開花から収穫までの期間の長短、刈り遅れ、過度の原粒水分の低下により生じた煮熟特性の異なる子実の混在である。GC-MS分析により、道産小豆と輸入小豆の煮熟臭を識別することができる。
[キーワード]
[担当]道立中央農試・基盤研究部・農産品質科、道立十勝農試・作物研究部・小豆菜豆科
[代表連絡先]電話0123-89-2585
[区分]北海道農業・畑作
[分類]研究・参考
[背景・ねらい]
農業形質に優れた育成系統が実需者による加工適性試験において、「煮えむらがある」、「未熟な小豆を煮たときの香りがする」との評価を受け、問題になることがある。これまで「煮えむら」および「煮熟臭」についての評価法はない。そこで「煮えむら」とは煮熟粒のかたさにばらつきがある状態と想定し、評価法を検討するとともに、それらに影響を及ぼす変動要因について検討する。また、煮熟臭については主成分分析法を用いた評価法を検討する。
[成果の内容・特徴]
- 粒大をそろえ、98℃、70分煮熟した粒100粒をテクスチャーアナライザーで1粒ずつ30%圧縮し、最大荷重が1000gを超える粒が検出された場合、煮えむらと評価される可能性が高いと判断する (図1)。
- 「エリモショウズ」と「十育150号」の煮熟粒を測定すると、「エリモショウズ」では、そのほとんどが最大荷重200g未満(良好な煮熟状態の粒)である(表1)。「十育150号」では、最大荷重1000g以上のかたい粒も存在する。
- 粒大が大きく、開花時期が早く、完熟から収穫までの期間が遅くなるほど最大荷重200g未満の粒が減り、最大荷重1000g以上の粒が増える(表2)。また、過度の原粒水分の低下により最大荷重1000g以上の粒が増える傾向が認められる。
- GC-MSによる煮熟臭の分析結果を主成分分析法により解析すると、道産小豆と輸入小豆の煮熟臭を識別することができる (図2)。
[成果の活用面・留意点]
- 物性測定による煮えむら評価法は、小豆加工適性の検定に活用できる。
- 主成分分析を用いた煮熟臭の解析法は、新たな煮熟臭の判別法として活用できる。
平成21年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
小豆加工適性(煮えむら、煮熟臭)の評価法と変動要因解明(研究参考)
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:小豆・菜豆の加工適性調査と小豆加工適性に影響する要因解明
3)小豆加工適性の不良要因の解析
予算区分:道費(日豆基)
研究期間:2006〜2009年度
研究担当者:相馬ちひろ、小宮山誠一、奥村 理、島田尚典(道立十勝農試)
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