ばれいしょ早期培土栽培の生産安定化技術
[要約]
培土の施工適期は植付後〜萌芽始で、土壌水分が高い場合や培土後2日以内に降水が予想される場合は避ける。規格内重を多くするための茎密度および栽植指標(種いもの大きさ、株間)が利用できる。施肥法は作条施用が最も多収である。
[キーワード]
バレイショ、早期培土栽培、ひび割れ、茎密度、施肥法
[担当]道立十勝農試・生産研究部・栽培システム科、栽培環境科
[代表連絡先]電話0155-62-2431
[区分]北海道農業・畑作
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
砕土装置付き培土機を用いた早期培土栽培は、慣行栽培に対して、培土作業時間および収穫作業時間の減少による省力性、および生産性が優ることから、生食用・加工食品用のばれいしょ栽培で普及が進んでいる。そこで、さらなる生産の安定化を図るため、適切な培土の施工時期、規格内重の向上をめざす栽植指標および施肥法を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 高い土壌水分時の培土施工や培土後2日以内に降水が予想される場合には、培土のひび割れ程度が大きく、緑化の多発や、根域土壌の変化(土壌硬度の上昇、20mm以下土塊径割合の低下)による茎数や上いも数の減少が懸念されるので避ける(表1)。上記の場合を除くと、植付後から萌芽始までの間の培土施工では、規格内重の差は認められない。
- 十勝農試ほ場データによる、目標収量水準に応じた、規格内重を多くするための適正な茎密度(1uあたり茎数)とその試算式、種いもの大きさおよび株間と茎密度の関係を示す近似式を、表2、表3に示す。
- 早期培土栽培における施肥法は、中早生の「トヨシロ」、中晩生の「スノーデン」とも、作条施用で窒素吸収量および規格内重が最も多い(表4)。全面全層施用は、春先の作業の省力化には有効であるが、作条施用より窒素吸収量が少なく、規格内重が少ない。
[成果の活用面・留意点]
- 本成績は十勝管内の淡色黒ボク土、多湿黒ボク土、細粒褐色低地土における結果である。
- 十勝農試における試験では、種いもは頂芽を通して手作業で切断し、植付は均等な株間で手植えした。現地ほ場における茎密度に関する試算式および近似式の適合性検証が、残された問題である。
平成21年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「ばれいしょ早期培土栽培の生産安定化技術」(指導参考)
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:高品質ばれいしょ生産を目指した省力培土・収穫技術(2005-2006)、
馬鈴しょ早期培土栽培の適応性拡大と施肥体系の改善(2007-2009)
予算区分:受託(民間)
研究期間:2005〜2009年度
研究担当者:大波正寿、田村 元、吉田邦彦、鈴木 剛
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