バイオエタノール生産に適したテンサイ栽培法のエネルギー効率


[要約]

[キーワード]

[担当]北海道農研・寒地温暖化研究チーム、機能性利用研究北海道サブチーム、寒地バイオマス研究チーム、根圏域研究チーム
[代表連絡先]電話011-857-9260、電子メールseika-narch@naro.affrc.go.jp
[区分]バイオマス、北海道農業・畑作
[分類]研究・参考


[背景・ねらい]

[成果の内容・特徴]

  1. 現行栽培法に対して、収穫部バイオマス(菜根)収量およびショ糖収量は、直播、殺菌剤無施用で有意に低下し、多収系統の利用、根冠部収穫(図1)では、有意に増加する(表1)
  2. 現行技術において、砂糖収量から推定されるエタノール収量は6.55 kL ha-1である(表2)。エタノール収量は、直播、殺菌剤無施用では、それぞれ5.51、4.51 kL ha-1に低下し、多収系統の利用、根冠部収穫で、7.33、7.39 kL ha-1に増加する。
  3. 直播では、加温ハウスでの育苗作業の省略、菜根収量の低下、簡易耕では、プラウ耕起の省略、殺菌剤無施用では、菜根収量の低下により、トラクター作業、収穫物輸送でのエネルギー投入量が低下する(表2)。資材消費に伴うエネルギー投入量は、殺菌剤無施用で、殺菌剤の消費量が皆無となり低下するが、直播では、除草剤散布が1回増えるため、増加する。
  4. 直播、殺菌剤無施用では、エネルギー投入量が減少するが、それ以上にエタノール収量が低下するため、エネルギー効率(エタノール1Lの生産に必要なエネルギー投入量)は、現行技術(5.82 MJ L-1)よりも、それぞれ18、34%低下する(図2)。一方、簡易耕、多収系統の利用、根冠部収穫では、それぞれ8、10、10%改善する。
  5. 簡易耕、多収系統の利用、根冠部収穫を組み合わせる場合、エタノール収量およびエネルギー投入量は、それぞれ8.72 kL ha-1および37.5 GJ ha-1と推定され、現行栽培法に対して26%のエネルギー効率の改善が期待される(図2)

[成果の活用面・留意点]

  1. 栽培試験データを活用する本エネルギー効率評価法は、他のバイオ燃料用作物にも適用できる。
  2. 殺菌剤無施用(表1)では,移植前に褐斑病および根腐れ病菌が土壌に接種されているため、殺菌剤無施用条件での収穫部バイオマスおよびショ糖収量低下に与える影響が最も大きなケースと想定される。

[具体的データ]

[その他]




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