SPF豚農場における無薬飼育の実証とワクチンによるボルデテラ感染の防止


[要約]

[キーワード]

[担当]道立畜試・基盤研究部・感染予防科、ホクレン・生産振興部・生産振興課
[代表連絡先]電話0156-64-5321
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]技術・参考


[背景・ねらい]

[成果の内容・特徴]

  1. 畜試の3〜4週齢の離乳子豚3腹24頭を、抗菌性物質を未添加の飼料(無薬飼料)を給与する無薬区12頭と抗菌性物質を添加した飼料(有薬飼料)を給与する有薬区12頭に分け、試験開始1〜6週後の体重を比較したが、処理間に有意差はない(図1左)。糞便は試験開始1週後に無薬区で軟便化が認められたが(図1中央、P<0.05)、治療の必要はない。糞便中の大腸菌数および大腸菌群菌数は、試験開始2および4週後に有薬区が無薬区よりも有意に低下し(図1右、P<0.05)、飼料添加した抗菌性物質の効果と考えられる。
  2. 道内SPF豚農場であるA農場において、5〜8日齢のほ乳子豚6腹66頭に無薬飼料を給与し(ほ乳期無薬区)、有薬飼料を給与した6腹65頭(ほ乳期有薬区)と離乳時体重を比較したが、処理間に有意差はない(図2左)。各処理区を離乳(15〜28日齢)と同時に離乳後無薬区と離乳後有薬区とに分け、離乳後5日目および試験終了時(26〜40日齢)の体重を比較したが、処理間に有意差はない(図2右)。下痢治療はほ乳期にのみ行われ、無薬区7頭(10.6%)および有薬区5頭(7.7%)と処理間に有意差はない。試験期間中の死亡頭数は、ほ乳期無薬区2頭、同有薬区3頭および離乳後有薬区3頭であり、処理間に有意差はない。
  3. 肥育期にBordetella bronchiseptica(Bb)の感染が認められる道内SPF豚農場であるB農場の去勢雄豚33頭(ワクチン区)に、Bb由来シアル酸結合型赤血球凝集素(SBHA)を含む市販不活化ワクチンを7および9週齢の2回接種すると、20週齢における鼻腔スワブからのBb分離率は、ワクチン未接種の対照区54頭の35.2%(19/54)に対して3.0%(1/33)と有意に低く、供試ワクチンによる感染防止効果が認められる(表1)
  4. B農場の母豚全頭に同様のワクチンを分娩予定の2および1ヶ月前に接種したところ、その産子の鼻腔スワブからのBb分離率は140日齢未満でワクチン接種開始前に比べて有意に低下する(表2)。一方、140日齢以降のBb分離率に差は認められず、移行抗体の消失とともに水平感染していることが示唆される(表2)

[成果の活用面・留意点]

  1. SPF豚農場が無薬飼料による肉豚生産またはBbの排除対策を行う際の参考とする。
平成21年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「SPF豚農場における無薬飼育の実証とワクチンによるボルデテラ感染の防止」(指導参考)

[具体的データ]

[その他]




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