経済条件変動下における道東草地型酪農経営の展開方向


[要約]

[キーワード]

[担当]道立根釧農試・研究部・経営科
[代表連絡先]電話0153-72-2158
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]行政・参考


[背景・ねらい]

[成果の内容・特徴]

  1. 行動指針と経営基盤の違いにより、道東草地酪農経営の代表としてA(放牧指向・小規模)、B(高泌乳化指向・中規模)、C(増頭指向・大規模)、D(指向不明・中規模)の4タイプが抽出できる。このうちA、B、Dタイプは単世代、Cタイプは二世代経営を中心とする。条件不利地ではCタイプがなくD’(指向不明・中規模・二世代)がみられる(表1)
  2. 経営行動に伴う問題として、Aタイプ:配合飼料削減に伴う生産の不安定化、Bタイプ:高泌乳化のもとでの乳飼比の上昇、収支状況の悪化、Cタイプ:高泌乳化のもとでの乳飼比の上昇、増頭に応じた農地確保の困難化、D’タイプ:高泌乳化のもとでの乳飼比の上昇、低い草地生産性と草地集積の困難性がみられる(Dタイプは負債が少なく経済的に安定)(表2)。また、条件不利地のD’タイプは、生乳1kg当たりコストは好条件地よりも高い傾向にある(図1)。今後の経営展開に向けて、上記問題の解決に加え、A、B、D’タイプでは生産拡大の柔軟性確保による今後の家計費増大への対応が、Cタイプでは増頭に応じた雇用労働力の確保が課題とみられる。
  3. 経済条件の悪化(乳価70円/kg・配合飼料価格70.15円/kg)を想定し、各タイプの経済性を試算する。この場合、各タイプの行動指針に則するだけでは経済性は確保されず、増頭、高泌乳化、飼料費低減の対応行動を複数組み合わせることにより経済性は向上し、家計費を上回る農業所得の確保が見込まれる(表3)
  4. 今後の経営展開の安定化手段として、Aタイプ:集約放牧技術の習得による生産の早期安定化及び草地集積による増頭可能幅の拡大、Bタイプ:栄養収量向上に向けた草地管理技術の習得及びパート労働力や自動給餌機等リリーフ的な労働調整手段確保による増頭可能幅の拡大、Cタイプ:コントラクターへの草地管理機能付与による自給飼料依存強化及び地域的取組みによる雇用労働力の安定確保、D’タイプ:地域的調整による農地集積や基盤整備による植生改善、これらのもとでの自給飼料依存強化等が想定される。

[成果の活用面・留意点]

  1. 第6次北海道酪農・肉用牛生産近代化計画策定に際し参考とする。
平成21年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
経済条件変動下における草地型酪農経営の展開方向(行政参考)

[具体的データ]

[その他]




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