キャベツに対する肥効調節型肥料の利用法
[要約]
結球始期までに50%以上、収穫期までに80%以上の窒素を溶出する肥効調節型肥料を施用窒素の40%配合することで、分施を省略でき、収量の安定化が図られる。さらに、初期溶出が速い放物線型の肥効調節型肥料を用いると、2割程度まで減肥が可能である。
[キーワード]
キャベツ、肥効調節型肥料、窒素、溶出特性、分施省略、減肥
[担当]道立中央農試・生産環境部・栽培環境科
[代表連絡先]電話0123-89-2581
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
キャベツの分施を省略し収量の安定化を図るために、生育特性に合った肥効調節型肥料の溶出特性および速効性肥料との最適な配合割合等を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 各種肥効調節型肥料の施用効果を検討した結果、被覆尿素のシグモイド型30日タイプ〔D(S30日)〕を除くいずれの肥料でも分施の省略が可能であり、収量水準が低い平成18年度では、被覆硝安肥料の放物線型40日タイプ〔A(N26%)〕、被覆尿素肥料のリニア型30日タイプ〔B・C(L30日)〕、U/F比3のウレアホルム〔E(U/F:3)〕、全窒素33%のイソブチリデン2尿素〔F(N33%)〕などの区で規格内収量が高く、12〜27%増収する(表1、2)。平成19年度は収量水準が高いため、これらの処理区の増収効果は小さいが、2カ年を通じると収量の変動が小さく、収量の安定化に寄与している。
- 施用効果および圃場条件下での肥料の窒素溶出過程から、キャベツの生育特性に合致した肥効調節型肥料は、被覆硝安肥料の放物線型40日タイプ〔A(N24〜26%)〕、被覆尿素肥料のリニア型20〜30日タイプ〔B・C(L20〜30日)〕、U/F比3のウレアホルム〔E(U/F:3)〕、全窒素33%のイソブチリデン2尿素〔F(N33%)〕などで、これらは結球始期(定植後約30日)までに窒素が概ね50%以上溶出し、収穫期(同60日)までに80%以上溶出する特性を示す(データ省略)。
- 施肥標準量における結球始期の最大葉長、規格内収量および施肥窒素利用率は、肥効調節型肥料の配合割合を40%とした区で60%区に概ね優る(データ省略)。
- 初期の窒素溶出が速い放物線型の肥効調節型肥料(溶出特性:結球始期70%前後、球肥大盛期80%以上)を用いることで、2割程度までの減肥が可能と判断され、このときの配合割合は30%程度に止めるのが適当である(表3)。
- 以上の結果から、分施を省略した肥効調節型肥料の利用法を表4にまとめる。
[成果の活用面・留意点]
- 全面全層施肥における省力安定栽培技術として活用できる。
- 8月どり晩春まき作型(6月上〜中旬定植)による成果である。
平成21年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「キャベツに対する肥効調節型肥料の利用法」(指導参考)
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:キャベツに対する施肥効率向上のための被覆肥料の利用法
キャベツに対する肥効調節型肥料を用いた効率的施肥法の確立
予算区分:受託(民間)
研究期間:2006〜2007年度、2008〜2009年度
研究担当者:小野寺政行
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