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斑入り観賞用パインアップルの新品種候補「パインアップル沖縄16号」


[要約]
パインアップル新品種候補「パインアップル沖縄16号」はパインアップル野生種「アナナス アナナソイデス」にガンマ線を照射して育成した突然変異系統で、緑葉にピンクや黄色の縦縞の斑入りをなし、果実が極小型で観賞用に適する。

[キーワード]
パインアップル、アナナス アナナソイデス、観賞用、ガンマ線、突然変異

[担当]
沖縄農試・名護支場・果樹育種研究室、生物研・放育場・放射線利用研究チーム

[連絡先]電話0980-52-0052	
[区分]九州沖縄農業・果樹、果樹・育種	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
小型のパインアップル果実が細長い果柄に着生する野生種の「アナナス アナナソイデス」は、切り花や鉢植えとして流通しているが、さらに観賞価値を高めて用途と販路拡大を図ることが求められている。「アナナス アナナソイデス」の優良な特性を活かして、ガンマ線により斑入りや果実形質が変異した観賞価値の高い新品種を育成する。

[成果の内容・特徴]
  1. 1989年(平成元年)に生物資源研究所放射線育種場において、パインアップル野生種「アナナス アナナソイデス」にガンマ線を照射後、沖縄県農業試験場名護支場おいて養成し、1993年(平成5年)に選抜した系統である。

  2. 2001年(平成13年)から2002年(平成14年)までパインアップル第3回系統適応性検定試験に「パインアップル沖縄16号」として供試し検討した結果、2003年(平成15年)8月の平成15年度常緑果樹系統適応性検定試験成績検討会において新品種候補として適当であるとの結論を得た。

  3. 「パインアップル沖縄16号」は原品種と同様に加工、生食兼用品種の「N67-10」より吸芽、塊茎芽の発生が多い。また、着果本数(切り花用)も原品種と同様に「N67-10」より多く、果柄も長く、開花後の日持ちも長い。原品種および「N67-10」が緑葉に対し、同系統は緑葉にピンクや黄色の縦縞の斑入りをなし美しい(表1図1および図2)。

  4. 同系統の開花時の果皮は鮮やかなピンクであるが、果実の肥大とともに変化し成熟時には白黄となる。成熟した果実は円筒形をなし原品種の約半分の大きさと小さく、糖度も「N67-10」より低い。(表2図1および図2)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 温暖な条件下で酸性土壌に適し、花芽誘導処理により切花用および鉢物用観賞パインアップルとして周年出荷が可能である。

  2. 果実は小さく、糖度が低いため食用には適さないが、室内で長期間新鮮な状態で維持できるので、インテリアプラントとして利用できる。

  3. 冬場には斑入りの葉色がうすくなり、観賞価値が低下しやすいので、保温対策などを講じる必要がある。

[具体的データ]

表1 夏実着生時の生育特性


表2 夏実の特性


図1 観賞用パインアップル「沖縄16号」の植物体


図2 観賞用パインアップル「沖縄16号」の果実

[その他]
研究課題名:パインアップル育種試験、亜熱帯作物の突然変異誘発に関する育種法の開発
予算区分 :指定試験、国立原子力研究・経常
研究期間 :1989~2003年度


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