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家畜生理機能制御研究分野の概要
 地球環境,食料問題,エネルギー問題など,今,世界は大きな問題をかかえています.ルーメン微生物はこれらの問題を解決す るための糸口になる可能性を秘めているのです.つまり,@反すう家畜はヒトやブタなどの単胃動物が利用することのできない植物繊維を利用して,われわれに 乳や肉を食料として供給してくれます.この機能は,反すう家畜自身がもつものではなく,ルーメン内に生息する微生物の機能です.(この機能をもっと有効に 利用すれば食料問題の解決につながる)A植物繊維とはすなわち,太陽エネルギーを利用した光合成により炭酸ガスから作られます.この地球上最大のバイオマ スを有効利用することはエネルギー問題の解決にもつながります.(ルーメン微生物はこのバイオマスを最も効果的に利用していると考えられています)B地球 環境を守るためには物質のリサイクルが重要です.ルーメン微生物は物質の変換という観点から,中心的な役割を果たしています.(反面,温室効果ガスである メタンを生成することから,その制御法を確立することが地球環境を守るためには急務です)

 ルーメン微生物を研究するための手法としては,@実際に家畜を使って行う.A試験管や人工ルーメンなどを使って微生物を培 養する.B機能をもった遺伝子をクローングして解析する.C微生物を培養せずに直接遺伝子にアクセスして解析する.など,種々の手法があります.このよう な手法のいくつかを使って(あるいは新たな手法を開発する必要があるかも知れません),以下のテーマを中心に教育と研究を進めます.

・ルーメン微生物のもつ繊維分解機構に関する研究
・気候温暖化に対応した反すう家畜の飼養技術に関する研究


 以下に教ごとにいくつか研究例をあげますが,これにとどまらずに,前述したような大きな目標に向かって,大きな家畜から小さな微生物,さらには遺伝子 と,ダイナミックレンジの広い研究に興味を持っていただけたらと思います.また,純粋に微生物が好き,あるいは動物(反すう家畜ですが)が好きということ でもかまいません.興味の持たれた方はぜひ連絡してください.
 

櫛引史郎 (教授)
実験の様子 ウシの成長や泌乳における成長ホルモンおよび関連ホルモンの分泌や作用を明らかにする研究を行っています。成長ホルモンとインスリン様成長因子(IGF-1)を中心としたソマトトロピン軸と栄養素の配分調節機構を解明し、乳牛の能力を効率的・安定的に発揮させる技術につながる基礎的知見を蓄積しています。
また、消化管から分泌される新しい泌乳制御ホルモンとして期待されるグレリンや脂肪組織から分泌されるレジスチンの発現動態、これらのホルモンの作用の解明を目指しています。
現在の研究テーマは、「乳牛におけるメラトニン分泌のサーカディアンリズムに及ぼす要因の解明」、「ソマトトロピン・IGF-1の泌乳制御機構の特性を利用した増乳技術の開発」、「ソマトトロピン軸の変動に伴うGLUT、ホルモンレセプター等泌乳制御物質の組織における発現量の解析」、などに取り組んでいます。
写真:実験の様子


三森眞琴 (教授)
  反すう家畜の第一胃(ルーメン (rumen))には原虫、細菌、真菌等の微生物(ルーメン微生物)が生息し、その発酵作用により植物性飼料を消化して宿主である反すう家畜にエネルギー源や栄養源を供給しています。主要なルーメン微生物であるルーメン細菌はルーメン内に高密度(1010-1011 細胞/ml)で生息し、ルーメン内の嫌気発酵に大きく寄与しています。そこで、ルーメン細菌を研究することでルーメン発酵をより良く制御し、反すう家畜の生産性を向上させることが期待されています。
 ルーメン細菌の研究は長い間ルーメン細菌を実際に試験管内で培養する方法(培養法)で進められ、ルーメン細菌の生化学性状が明らかにされてきました。しかし、ルーメン細菌の培養には高度な嫌気条件を必要とし、多くの手間と時間がかかるものです。近年、ルーメン細菌のDNAを解析する分子生物学的手法が進歩し、未培養のルーメン細菌についてもいろいろな情報が得られるようになりました。これらのことを踏まえ、当研究室では培養法と分子生物学的手法の両方を活用し、ルーメン細菌の生態的・機能的解析に取り組んでいるところです。
 また、反すう家畜からは温室効果ガスであるメタンが産生されますが、これについてもルーメン微生物学的な観点から取り組み、ルーメン内でメタンを産生する細菌についても詳細な検討を行なっているところです。








図:自己組織化図法(SOM法)によりルーメン由来遺伝子から同定されたメタン産生細菌
田島清 (准教授)
 食品残さを一定量含む飼料のことをエコフィードと呼びます。飼料自給率を高めるためは、こうしたエコフィードや農産副産物の飼料利用を促進することが必要になります。現在、単胃動物向けの飼料としての調製法の検討と利用技術の開発を行っています。
 飼料調製法の1つである発酵リキッドに着目し、プロバイオティック微生物を用いた発酵調製による機能性の付加、また、低・未利用資源に含まれる機能性物質を利用した飼養管理技術の確立を図ることで、抗菌性飼料添加物の利用を低減や、特色のある生産物の創出を目指しています。 また、発酵飼料を給与した時の腸内で短鎖脂肪酸濃度や微生物叢の変化を調べ、投与したプロバイオティック微生物の効果についても検討しています。