よくある質問(FAQ)
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<目次>

■鳥害についての一般的質問

Q.被害実態について教えてください
Q.鳥害対策の事例について教えてください
Q.最近鳥害は増えているのでしょうか?
Q.防鳥網の網目の大きさと対象鳥種の関係は?
Q:野鳥の保全と鳥害とはどう調整するのですか?

■農作物での鳥害についての質問

Q.葉菜類(キャベツやコマツナなど)がヒヨドリに食べられて困るのですが
Q.冬期にムギ畑の葉を食べられて困っているのですが
Q.カモにレンコンが食べられて困っているのですが
Q.果樹園での防鳥手段は?
Q.鳥用の忌避剤があると聞いたのですが
Q.自分の畑に来ている鳥を捕まえたり、殺したりしてもよいでしょうか?
Q.新聞広告に出ていた鳥害対策用品は効果がありますか?
Q.播いたダイズがハトに食べられて困っているのですが。
Q.トウモロコシの芽生えがカラスに引き抜かれて困ります。
Q.ヒヨドリ用の音声防除機が市販されていますが、その仕組みと効果は?

■農作物以外での鳥害についての質問

Q.近くにサギ山ができて悪臭や騒音に困っているのですが
Q.ムクドリのねぐらがあり、騒音と糞害で困っているのですが
Q.生ゴミがカラスに荒らされて困るのですが。
Q.マンションのベランダにハトが来て困ります。

■鳥獣害研究室への依頼・要望

Q.当方で開発した鳥害対策機器の効果をテストしてもらえますか?
Q.鳥害対策機器を開発したいので、一度お話しをお伺いしたいのですが

■鳥の生物学的特徴についての質問

Q.鳥は地磁気で方向を知るというのは本当ですか?
Q.鳥は1日にどれくらいの量の餌を食べるのでしょう?
Q.鳥はどれくらいの範囲で食物を探すのでしょう?
Q:鳥の警戒音声にはどんなものがあるのでしょうか?
Q:鳥は超音波が聞こえるのですか?
Q:鳥は人より目がいいのですか?


■鳥害についての一般的質問

被害実態について教えてください
鳥獣害グループでは、個別の調査地で被害調査を実施することはありますが、一般的・広域的な被害実態の統計は取っていません。全国的な調査は、農林水産省が行っています。地域の実態については自治体の農政部門におたずねください。

鳥害対策の事例について教えてください
残念ながら鳥獣害研究サブチームでは事例は収集していません。新聞記事になったものは、各新聞社で検索できることがあります(例えば日本農業新聞−ただし検索は有料)。農水省が行っている鳥獣害関係の各種補助事業の実例については農林水産省農村振興局農村環境課にお問い合わせください。
 ただ、鳥害対策の効果は周辺状況に大きく左右されるため、ある事例が他のところには当てはまらないということも多いものです。

最近鳥害は増えているのでしょうか?
確かに「近年は鳥害が激増し」といった表現を見かけることがありますが、農林水産省の統計を見るかぎりは1980年代以降に鳥害が増えたという様子はありません(「被害と対策の概要」にグラフあり)。この間にシカやイノシシ、サルなどによる獣害は増えているので、「鳥獣害」としては増えていることになりますが、鳥害に限れば大きな変化はないと考えてよいでしょう。
 農作物への鳥害が明らかに増えるのは、むしろ作物や栽培方式が変化した時です。1980年前後には水田転作作物としてダイズが推奨され、その結果主にハトによる鳥害が全国的に大問題になりました。また、稲での鳥害は減少傾向でしたが、1995年前後からは水稲直播が推奨され、種籾への鳥害が問題になってきました。
 ただ、農業側の変化だけでなく、加害鳥の個体数が増加しているケースもあります。ガン類によるムギ類等への食害はその例でしょう。また、ヒヨドリによる被害は年次変動が大きく、被害のひどい年には「最近は山が荒れて鳥害が増えた」とか、「保護が行き届きすぎて鳥害が増えた」という俗説がまことしやかに語られるようです。

防鳥網の網目の大きさと対象鳥種の関係は?
スズメやカワラヒワには20mm目(1辺の長さが20mm)、ヒヨドリやムクドリには30mm目が一般的です。ただし、無理をして網目をくぐり抜けてしまうことがあるので、それぞれ10mm目と20mm目のほうが完璧です。沖縄のシロガシラはヒヨドリより一回り小さいので20mm目を使用します。
 ハト類には5cm目以下、カモ類、カラス類、サギ類には75mm目以下の網を使用しますが、飛んでくる進路を邪魔するように張る場合は、より粗い網も有効です。
 なお、防鳥網に野鳥が絡まって死んでしまうことがあるので注意が必要です。特に、30mm目以上の粗い網や、細い糸の網は鳥が絡まりやすいようです。目立つ色で、なるべく糸が太い網、柔軟性が低く張りのある網を使用します。

野鳥の保全と鳥害とはどう調整するのですか?
農地は人工的に管理されているので原生自然ではありませんが、周辺の集落や林、水辺と一体となってたくさんの生き物たちの住み場所になっています(二次的自然)。平野部は人が徹底的に利用しているため、トキやコウノトリのようにもともと氾濫原のような開けた環境に暮らしてきた生物にとって、現在では農地以外に広い生息地がなくなっています。そうした生物の運命は農業のあり方にかかっているのです。
 ハトやカラスのように農作物を加害する鳥も農地に依存している割合が高いのですが、それは農作物のおこぼれにあずかっているからです。つまり、農業活動で増えてきた鳥と考えられます。こうした鳥に対する適切な防除策について研究することはもちろん必要です。
 というわけで、農地で鳥をはじめとする生物多様性を保全することと、一部の鳥による農業被害を減らすことは、どちらも大切だし、矛盾していません。さらに、農地における鳥類個体数の適正管理という面では、保全と鳥害対策は技術的にも共通です。

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■農作物での鳥害についての質問

葉菜類(キャベツやコマツナなど)がヒヨドリに食べられて困るのですが
家庭菜園のような小さな畑なら防鳥網(網目2〜3cm)で覆うのが一番です。防鳥網の上にヒヨドリが乗って作物に垂れ下がらないように、高さを十分確保しましょう。
 広い露地畑でも、今のところ防鳥網しか確実な方法はありません。音声や爆音を用いた追い払い機器の効果は一時的です。葉菜類へのヒヨドリの加害は真冬から春先まで長期間続くので、結局は被害を防げません。防鳥テープやカカシ類も効果は続かないようです。あまりひどいようなら自治体と相談して有害鳥獣駆除も検討してください。ヒヨドリは狩猟鳥ですので、猟期なら免許保持者は捕獲できます。
 なお、収穫後の残りものなどを放置するとヒヨドリを寄せてしまいますから気をつけましょう。逆に、くず野菜の方にヒヨドリを誘導することも可能かもしれません(実績はありませんが)。その場合、遠くからヒヨドリを寄せてしまわないように、被害が発生しはじめてから、まず守るべきところに何らかの対策を施し、くず野菜を目立つように置きましょう。ヒヨドリの出撃拠点となる林近くの方がよいでしょう。
 参考:鳥種別生態と防除の概要(ヒヨドリ編があります)。リンク集でも関連ページを紹介しています。

冬期にムギ畑の葉を食べられて困っているのですが
冬期に広い面積を緑の葉でしめているムギ類は草食性のヒドリガモや地域によってはガン類などの格好の食物となっているようです。カモ類は主に夜間、ガン類は日中に食害します。川や池などカモ類の休息場所の近くで被害が生じやすいようです。特にガン類は開けて安全なところを好みますから、人家や林、通行量の多い道路から離れたところで被害が多くなります。
 網目10cm以下の防鳥網を張って圃場への侵入を遮断するのが確実ですが、麦作ではコスト面から非現実的でしょう。簡単な「のぼり」で被害が軽減したという報告があります。3mの長さの黒色マルチ用シートを2mの支柱につるした「のぼり」を10アール当たり5本設置します。笹を立てたり、テープを吹き流し状に設置することでも被害が軽減出来たという例もあります。ただし、鳥害対策をしていない別の圃場に被害が移るだけです。もしみんなが同じように防除策を講じれば効果が減るかもしれません。
 カモ類は狩猟鳥でもあることから爆音機の音を恐れますが、急速に慣れてしまいます。越冬地での加害期間は長いので、適用期間を吟味して短期間だけ使います。圃場に飛来するのは夜間ですので、銃での狩猟や駆除はできません。
 最近では、カモ類を他の場所に誘引したり(石川県河北潟)、ガン類による被害について補償制度を設けたり(宮城県田尻町や北海道美唄市など)といった新しい試みも出てきています。
 参考:鳥種別生態と防除の概要(カモ編があります)。

カモにレンコンが食べられて困っているのですが
レンコン田における鳥害はまだよく調べられていないと言うのが実状です。カルガモによる食害が指摘されていますが、マガモやヒドリガモ、オオバンも加害している可能性があります。カモはレンコンの先の水面に近い部分を食害するので、レンコンは根本まで腐ってしまい、食害量の割に被害がひどくなる傾向があります。
 対策としては、防鳥網を張るのが一番確実ですが、爆音機や吹き流しなどもある程度の効果は期待できると思います。道路工事などで使っている点滅灯を設置したところ、鳥害が減ったという報道もあります。ただしこれらの機器は長期間使用すると慣れが生じてしまうので、短期間の使用、防鳥機器の組み合わせ、有害鳥獣駆除との併用など慣れを生じさせない工夫が必要です。
 耕種的手法では、病害の心配がなく、水を抜くことが可能ならば落水管理でカモが来なくなります。落水管理が無理でもできる限り浅水に管理することでカモの飛来を減らすことができるでしょう。
 参考:鳥種別生態と防除の概要(カモ編があります)。

果樹園での防鳥手段は?
カキやナシ、リンゴなどの落葉果樹ではムクドリやヒヨドリが食害します。カンキツ類への食害は主にヒヨドリによるものです。いずれの果樹でもカラスによる食害も深刻です。また、メジロは主に他の鳥が開けた穴を利用して食害します。果実への被害は、熟しはじめてから被害が起こる点に特徴があります。
 確実な防鳥手段は果樹園全体に防鳥網を張ることです。被害が甚大なところでは、堅固な支柱を常設し、毎年、果実の熟期前にワイヤーを使って防鳥網を簡単に張れるように工夫しているところもあります。ただし、広大な面積全体を防鳥網で覆うことは労力面でも費用の面でもとても大変です。次に考えられるのは、袋掛けをする果実であれば、鳥害に強い袋を利用することです(ポリエステル製のものなど)。
 ディストレスコールを利用した音声機器やラゾーミサイルなどさまざまな防鳥機器がありますが、効果は一時的です。必要な時期だけ設置したり、設置場所を変えたり、またいくつかの防鳥機器を組み合わせて使用するなど、慣れを生じさせない工夫をしても、長期的にコストに見合うかどうかは疑問です。磁石や反射板は、それ自体にはほとんど効果は期待できません。
 参考:鳥種別生態と防除の概要(ムクドリ編、ヒヨドリ編があります)。

鳥用の忌避剤があると聞いたのですが
海外では播種期の鳥害対策として忌避剤の使用が普及しているところもあります。それらの多くは毒性が強くて日本では使えません。現在、日本で使える忌避剤は4種類あります(一覧表はこちら)。ただし降雨などで効果を失いやすいことや、使い方を誤ると薬害が出ることに注意が必要です。さらに他に餌がなければ薬剤処理した餌でも食べられてしまうようです。
 薬剤による鳥の殺傷と捕獲は、「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(通常、鳥獣保護法と呼ばれる)によって禁止されています。したがって鳥を殺すことを目的とするような農薬が開発されたり登録されたりする可能性はありません。

自分の畑に来ている鳥を捕まえたり、殺したりしてもよいでしょうか?
日本の鳥は「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(通常、鳥獣保護法と呼ばれる)により、原則的に捕獲したり殺したりすることが禁じられています。それがたとえ自分の畑でも同じです。例外として狩猟と「許可による捕獲」が認められています。狩猟鳥となっている鳥は29種あり、カラス、スズメ、ムクドリ、ヒヨドリなども含まれます。狩猟をするには免許が必要で、網を使える網猟免許、わなを使えるわな猟免許、ライフルや散弾銃を使える第一種銃猟免許、空気銃を使える第二種銃猟免許に分けられています。ただし、カスミ網や劇毒物、危険なわな(くくりわななど)などは捕獲される鳥を特定できないなどの理由で、いっさい使えません。
 「許可による捕獲」の1つに有害鳥獣駆除があります。希少種を対象とする特別な場合以外は、都道府県の権限になり、条例で定めれば市町村に委任できることになりました。期間は定められていませんが、狩猟期以外に実施されることが多いようです。農林水産被害などのために駆除が必要であると認められれば許可されます。詳しくは市町村の窓口で聞いてみてください。

新聞広告に出ていた鳥害対策用品は効果がありますか?
新聞に限らず、広告に出ている鳥害対策用品は、一口で言えば玉石混合だと思われます。良心的な会社や製品もありますが、効果が疑わしいものや、宣伝内容が過剰と思われるものもあります。
 たいていの製品で、設置当初には効果があります。ただ、比較的効果の高いものでも、効果は一時的だと考えるべきです。「慣れを生じない」といったキャッチコピーがありますが、物理的に侵入を阻止するタイプのものを除いて、そのような製品は今のところありえないと思われます。どれぐらい効果が続くかは使い方や周りの状況次第です。
 鳥害対策用品には、農薬や医薬品のような効果や安全性についての検査制度はありません。特に農作物の鳥害対策では広い面積をカバーすることが必要ですし、被害状況も変化するので、本当に効果を確かめて市販されているものは少ないでしょう。鳥獣害グループとしては個別の製品へのコメントはしておりませんので、あとは皆さんが自分で判断するしかありません。

播いたダイズがハトに食べられて困っているのですが。
 他の餌が豊富な時期にダイズを播けば被害を減らせます。たとえば、麦作が多い地域では、収穫後のこぼれ麦が多い時期に播種します。ただし、麦の収穫直前はむしろ餌が乏しいので注意が必要です。また、地域で一斉にダイズを播けば、一時期にハトが加害できる量は限られているので、全体として被害率を下げることができます。
 ワラによる被覆も有効です。あまり厚くかける必要はなく、地面が十分見える程度で効果があります。特に麦収穫と同時にダイズを播種して麦ワラで覆えば被害を相当減らすことができます。
 爆音と同時に模型が打ち上がる複合型爆音機は、ハトに対しては比較的効果が高く、有効半径も50m以上ありますが、長年使っていたり周辺で数多く使ったりしているとやはり慣れてしまいます。
 被害が多い場合には、有害鳥獣駆除を行うことも考えられます。駆除によって個体数を減らすことは困難ですが、その場所が危険であることをハトに学習させることができます。銃器による駆除が行われている場所では、爆音機の効果も長持ちすると考えられます。
 タカやヘビの模型、風船、防鳥テープ、縄などは、設置当初にごく近距離で効果があるだけです。人間に似たかかしやマネキンは比較的効果があるので、現代の風俗で腕などの動きを伴うものを短期日のうちに場所を変えるなど、工夫して使えばある程度期待できます。ただし、ドバトはキジバトより人慣れした個体が多いので効果は小さくなります。
 忌避剤(登録農薬)もあり、一定の効果がありますが、被害のひどい時期には忌避剤のついたダイズでもハトは食べてしまいます。

 参考:鳥種別生態と防除の概要(ハト編があります)。

トウモロコシの芽生えがカラスに引き抜かれて困ります。
トウモロコシは穀類の中ではカラスに好まれる種類です。カラスは芽生えを引き抜き、種子の部分をちぎって食べます。被害は地上に芽が出始めた日から出芽後10日目ごろまでの間に多く起こります。それ以降でも、苗が根を張るまでは引き抜かれることがありますが、種子に残っている栄養が少ないため、食べずに放置することが多くなります。
 種子を深播きすることで、被害を軽減できるという報告が複数あります。5〜6cmの深播きにすれば被害が少なく、生育の遅れもほとんどありません。ただし、重粘土土壌では出芽率が低下するおそれがあります。
 飼料用などの大規模栽培では防除にコストと労力をかけられないので、深播きや忌避剤(登録薬剤はキヒゲンとキヒゲンR2フロアブル)の使用が現実的と思われます。忌避剤の忌避効果は絶対的なものではないので、周辺状況によっては加害されてしまいますが、深播きで引き抜きにくくし、忌避剤で餌としての価値を下げるといった組み合わせは有効かもしれません。
 被害の発生期間は比較的短いので、小規模栽培であれば、新奇なものはいったん避けて様子を見るという鳥類の性質を利用して、各種の脅しやテグスといったさまざまな工夫も行う価値があるかもしれません。もちろん、網で覆うことができるのであればそれが確実です。

 参考:鳥種別生態と防除の概要(カラス編があります)。

ヒヨドリ用の音声防除機が市販されていますが、その仕組みと効果は?
鳥のなかには捕食者に捕まったときにけたたましい声を出すものがいます。この声をディストレスコール(遭難声)といい、この声を聞いた他の鳥はその場の様子を見に来たり、飛び去ったりします。
この遭難声を利用して防除機が考え出されました。ヒヨドリ用というのはヒヨドリの遭難声やそれに類似した音を利用していると考えられます。この声を果樹園などで流せばそこにいたヒヨドリは飛び去るし、近づいて来ないと宣伝されています。鳥が寄ってきたことをセンサーで感知して音を流すものもあります。
しかし、鳥はその声が本当の危険を意味していないことを簡単に見抜いてしまい、たいていは数日、長くても数週間で慣れてしまいます。「本能的に慣れを生じない特殊音使用」といった広告も見かけますが、そのような音の存在はこれまで証明されていませんし、理論的にもあまり考えられません。慣れを生じにくくさせるためには、被害の大きい時期にのみ使用したり、他の防除手段と組み合わせてローテーションしたりする工夫が必要です。

 参考:鳥種別生態と防除の概要(ヒヨドリ編があります)

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■農作物以外での鳥害対策についての質問

近くにサギ山ができて悪臭や騒音に困っているのですが
 アオサギやゴイサギ、シラサギ類は数十〜数千羽が集まって繁殖します。住居の近くでは、フンと落ちた餌の悪臭や、夜中続く餌ねだりの声に悩まされます。
 いったん繁殖が始まってしまうと、サギを追い払うのは無理です。対症療法として人の側がフン対策や臭い対策をするしかありません。遅くとも9月下旬になれば繁殖は終わりますから、それまではがまんしてください。卵や雛がいる巣を棒で落としたり、樹木を伐採することは、たとえ自分の土地であっても鳥獣保護法で禁じられています。目玉風船や磁石、ラジオ(音声)などでは追い払えないので、やるだけ無駄です。
 しかし、翌春に来ないようにすることはできます。繁殖開始時期(ふつうは3月中旬)から、隔日〜数日おきにサギが渡来しているかどうかを観察します。午前中は餌をとりに出払っていますから、日没1時間ぐらい前の夕方に観察するのがポイントです。もし来ていれば爆竹や打ち上げ花火、ロケット花火、クラッカー、爆音器、ラジコン飛行機などで追い払います。この時期なら数日繰り返せばいなくなるはずです。その後も1カ月ぐらいは数日おきに監視を続け、もし飛来していれば同じようにして追い払います。卵を産む前なら、サギも潔くあきらめてくれるはずです。
 ただ、法的な問題も生じうるので、勝手に対策を講じたりせずに、まず自治体と相談してみましょう。
ムクドリのねぐらがあり、騒音と糞害で困っているのですが
ムクドリは繁殖が終了する6月末頃から市街地やその周辺の竹林や街路樹などに夏ねぐらを形成し、数百からときには数万に及ぶ個体が集合します。そのときの騒音や糞害は各地で問題になっています。ただし、10月半ば頃にはこの「夏ねぐら」は解消し、周囲に小規模な「冬ねぐら」を作るようになります。この時期にはほとんど問題が起こっていませんので、それまで我慢できればそれに越したことはありません。
 しかし、商店街や人が集まる公園などでは早急な対策が望まれることと思います。ムクドリのねぐらの追い払いには、ムクドリが捕まった時にあげる声(ディストレスコール=遭難声)を利用するのが一般的です。夕方ムクドリが集まり始めた頃からディストレスコールを流し始め、夜間も断続的に流すことで、かなりの確率で追い払うことが可能です。この声を使った防鳥機器もいくつか市販されています。音を使った機器の優れた点は、音のボリュームを上げることで、簡単に有効範囲を広げることができることです。しかし、ディストレスコールは相当嫌悪感のある音ですから、人家近くでの使用には注意が必要です。追い払われたムクドリがどこへ行くかはコントロールできないという問題点もあります。追い払いの結果、より広い範囲にねぐらを拡散させ、鳥害をひどくするということも十分考えられるので、移動先をモニタリングしておくことも必要です。
  • 【参考文献】中村 和雄・飯泉 良則 (1995) Distress callによるムクドリのねぐらの移動.野生生物保護 1:69-76 
  • 市販品の紹介はしておりません。農業関係の雑誌や新聞に掲載される広告やインターネットで探してみて下さい。

生ゴミがカラスに荒らされて困るのですが。
人間が出すゴミはカラスにしてみれば魅力的な食物です。ゴミ置き場は面積的には小さいので、カラスがゴミに触れられないように工夫するべきでしょう。最近ではゴミ置き場全体を頑丈な金網などで小屋型に作ったものもよく見かけます。また蓋付きポリバケツを使用するものよい方法です。ただし、きちんと蓋が閉まっていないと意味がありません。カラス除けネットは適切に使えば、簡便かつ低コストです。カラスがくちばしをさし込まないように5mm目以下のネットを使い、風にあおられたりカラスにめくられたりしないように、縁にチェーンなどのおもりを付けます。またすべてのゴミが収まる十分な大きさが必要です。
以上のようなゴミ置き場での対策の他に、カラスが活動していない夜間や早朝にゴミを出し、回収する方法もあります。しかし、これを実施するにはゴミを回収する自治体とゴミを夜明け前(もしくは夜)に出す市民の理解が必要となります。
環境省のカラス対策マニュアルもあります。

マンションのベランダにハトが来て困ります。
 ドバトは、ヨーロッパ原産の飼い鳩(伝書鳩など)が野生化したもので、よく建物に巣を作ります。ベランダでは、エアコン室外機の下などに巣を作るので、このような隙間をふさいで巣を作れないようにします。卵やヒナがいる場合は、処分には鳥獣捕獲許可が必要なので、巣立つまで待ってからふさぎます(長くても1ヶ月程度です)。空の巣だけの場合は取り除いて構いません。ベランダの手すりにハトが止まる場合は、8cm程度の高さで手すりの上にひもや針金を張って、止まれないようにします。
 隙間をふさぎ、手すりに止まれないようにしてもまだハトが来るようなら、ベランダ全体を網で覆うしかありません。音、色、磁石、匂いなどを使った各種の脅し道具には、すぐに慣れてしまいます。美観を損ないにくい色や材質の網も市販されているようです。

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■鳥獣害研究室への依頼・要望

当方で開発した鳥害対策機器の効果をテストしてもらえますか?
今のところ鳥害対策機器の効果についての検査制度はありませんので、すでに開発されたものや開発途上の防鳥資材・機器の効果試験については受け付けておりません。少人数の職員で複数の研究課題を抱えていて手一杯ですので、ご理解願います。鳥獣害グループの試験研究に必要な場合には市販品についての効果試験を行うことがありますが、一般の手続きをへて購入しております。
 それでも試験したい、という場合には農協等の農業団体や民間の動物調査会社等にご相談されてはどうでしょうか。
 なお、農薬(鳥用忌避剤)については、登録手続きとして複数の公的機関による効果試験が義務づけられていますので、鳥獣害グループでも相談に応じます。
 公的研究機関や大学、民間企業と共同研究に取り組むことは可能です。それなりの手続きが必要ですので個別にお問い合わせください。

鳥害対策機器を開発したいので、一度お話しをお伺いしたいのですが
現在、磁力や音声、各種の視覚刺激等を利用した機器の開発についての民間企業や個人の方からの来訪による相談は受け付けておりません。多忙ということもありますが、こうした機材を使った防除については農業現場での効果が非常に限定的であると考えているためです。
 もちろん、将来の新技術開発のための基礎的な研究まで否定しているわけではありませんが、その場合には来訪されてもメリットはないと思われます。
 研究室としてお話できる情報は、ほとんどこのホームページで公開しています。お電話で相談していただいてもかまいません。その場合も、このホームページ等で必要な情報が足りるかどうか事前にお探しくださるようお願いします。

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■鳥の生物学的特徴についての質問

鳥は地磁気で方向を知るというのは本当ですか?
本当です。伝書バトや長距離の渡りをする小鳥などで、地磁気を利用して飛ぶ方向を決めていることが証明されています。鳥以外にも、ウミガメやサケなどが地磁気を感知すると報告されています。しかし、地磁気の方向は永久不変ではありませんし、局所的に乱れるとか、高緯度地方(正確には南北の磁極近く)では役に立たないといった問題があります。こうした問題をクリアするために、鳥は磁気コンパスだけに頼ることはなく、「天体観測」、つまり太陽コンパスや星座コンパスも併用しています。
 なお、地磁気を利用する鳥でも、日常的な移動は視覚に頼っています。したがって、鳥が地磁気を感知できることは、「磁石で鳥を追い払える」という根拠にはなりません。

鳥は1日にどれくらいの量の餌を食べるのでしょう?
餌の量は体の大きさでだいたい決まります。鳥獣害グループでの飼育記録からは,体重20gあまりのスズメで1日に約5g,体重80gのムクドリやヒヨドリで12g,体重220gのキジバトで15g,体重1kgのカルガモで60gの餌を食べます。体重当たりでは小さい鳥の方がたくさん餌を食べることがわかるでしょう。
 これらの値は穀物や乾燥飼料(水分が15%前後)の重さですから,果物や昆虫のように水分の多いものでは重さにして4〜6倍ぐらいになります。また,寒い時期には体温維持により多くのエネルギーが必要なため,2〜3割ほどたくさん食べます。
 上の値から,鳥の個体数がわかれば最大被害量の目安を立てられます。例えば,水田面積1,000haの町に1万羽のスズメがいて(実際にはこんなにいませんが),毎日稲だけを食べるとすると,町全体で1日に50kg,10日で0.5トンの食害です。10a当たりなら10日で50gです。もっとも,果物や野菜への食害では,一部だけが食べられても商品価値がなくなるので,簡単には推定できません。

鳥はどれくらいの範囲で食物を探すのでしょう?
鳥の種類や季節(繁殖期か非繁殖期か)、場所(食物の分布状況)によって範囲は変わってきます。日々、食物を探しに行く範囲は、繁殖期などでなわばりを作っている鳥はそのなわばり内となり、ヒヨドリではおおよそ直径100mくらい、ハシボソガラスでは直径数100mくらいです。一方非繁殖期にはカモやスズメ、ムクドリ、カラスなど多くの種類は集団ねぐらを作り、そこから数kmから20kmくらいの範囲で食物を探します。繁殖期でも繁殖に参加しない若いカラスは群をつくるし、巣のまわりの狭い範囲をなわばりとするハトなども餌場では群をつくるので、非繁殖期と同様に広い範囲を移動します。
 またこのような日々の食物を探しに行く移動とは別に、ヒヨドリやムクドリ、スズメなどは季節的に移動する個体もいることが分かっています。このような移動はときには大きな群になり、東日本から西日本へ移動することもあるなど、はるかに長距離を移動するようです。

鳥の警戒音声にはどんなものがあるのでしょうか?
鳥は天敵(捕食者)に対していろいろな声を出します。警戒声(アラームコール)は、天敵を見つけた鳥が「天敵がいるぞ!」と周りに知らせる声です。声を出すと天敵の注意を自分に向けることになるので、周りに自分の子供など、守りたい仲間がいなければ鳴きません。天敵があまりに近くても鳴かずに逃げてしまいます。声の収録が難しいこともあって鳥害対策にはほとんど利用されていません。
 天敵には鳥が先に見つけてしまえば危なくないものもいます。例えばネコや昼間のフクロウです。こうした相手をはやし立てる声がモビングコールです。この声を聞くと周りの鳥も次々と集まってきます。その結果、天敵は捕食活動をやめて移動したりすることが知られています。
 天敵に捕まった鳥が大声で鳴き叫ぶことがあります。遭難声(ディストレスコール)です。この声を聞きつけた鳥はふつう様子を見にきますが、助けられそうになかったり、状況がよく分からなければ逃げていきます。人が鳥を捕まえて鳴かせることができるので、市販の防鳥機器に「警戒声」と称して使われている音声もたいていはこの遭難声です。(別の質問も参照のこと:「Q.ヒヨドリ用の音声防除機が市販されていますが、その仕組みと効果は?」)。
 鳥獣害研究グループではこれらの音声について研究したことがあります。詳しくは研究成果情報をご覧ください。

鳥は超音波が聞こえるのですか?
聞こえません。ヒトに聞こえる音の周波数範囲は、およそ20ヘルツから2万ヘルツですが、普通の鳥が聞こえるのは200ヘルツから8千ヘルツ程度なので、ヒトに聞こえない音は鳥にも聞こえません。ただし、ハトやニワトリは20ヘルツ以下の音も聞こえますが、これは超音波ではなく超低周波といいます。

鳥はヒトより目がいいのですか?
視力(細かいものを見分ける能力)は、ハトやスズメなどの普通の鳥では、ヒトと比べて特に良くはありません。遠くから獲物を見つけるタカの仲間では、ヒトの3倍くらい視力が良いことがわかっています。
 色覚や視野の広さは鳥のほうがすぐれています。ヒトには見えない紫外線や偏光を見ることができ、餌をついばみながら周りの警戒もできるような目の構造をもっています。
 なお、鳥は「鳥目」で夜は目が見えないと思われることがありますが、普通の鳥でもヒトと同じくらいは見えています。ただし、ヒトに比べて、急に暗くなった時に目が慣れるのに時間がかかります。

鳥についての基礎知識を図解入りでまとめたものがあります。内容は少し違います。
鳥害をふせぐにはまず相手を知ろう(pdf ファイル 53kb)

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