系適試験の病害抵抗性項目の一つとされている重要なウイルス病害。葉が上向きにまくれ上がり、特に雌穂より上の節間が詰まる。その結果、株全体が萎縮し、激発時は草丈が健全な個体の1/3以下になる。葉の裏側や包葉の表面には隆起したロウ白色〜赤褐色のすじが現れる特徴がある。病原ウイルスはイネ黒すじ萎縮病と同じもので、イネ科作物に広く寄生するが、これがヒメトビウンカ等によって伝搬され、広がる。 |
九州など温暖地で発生が増えている斑点性の細菌病。梅雨期以降に灰白色〜黄褐色、条状、長さ2〜10cm、幅3〜5mm程度の病斑を形成する。ソルガムの場合のようにはっきりとした長い条斑にはならず、やや短い斑点が多数連なって形成されることが多い。病徴は下位葉から現れるが、上位葉が侵されることはまれである。従って被害も限定され、あまり大きな問題とはならない。梅雨が長引いたときなど、高湿条件で発生が多くなる。
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多発すると被害の大きい細菌病。一時山梨、静岡等で発生し問題になった。梅雨期から初夏にかけて最も激しく発病し、初め葉身で水浸状の病斑を生じるが、徐々に稈の内部が軟化腐敗し、ついには子実、稈の髄が中心部から腐敗する。稈では害虫の食痕などから感染し、発病部の髄から褐色に腐敗し倒伏する。発病株からの菌泥が風雨や虫により運ばれて伝染する。病原として2種の細菌が関与する。 |
穂をかびさせる糸状菌病。穂に発生し、子実や穂軸に灰緑色のかびを生じる。子実では種皮にとどまることが多いが、まれに胚も侵される。圃場ですでに発生し、貯蔵中に広がることが多い。また、種子伝染し、播種後種子が土壌中で青かびに覆われ、苗立枯を起こすこともある。病原菌自体の感染力は弱く、害虫の食痕などから発生することが多い。 |
最も重要な糸状菌病。梅雨明け頃から発生が始まり、葉および葉鞘にオレンジ色〜黄褐色、楕円形、長さ0.5〜2cm、幅2〜5mm程度の病斑を多数形成する。多発した場合は植物全体が枯れ上がる。8月から9月にかけて発生が増加する生育後期の病害。病原菌は分生胞子が風雨で飛散して、まん延する。レースはトウモロコシの雄性不稔細胞質の型に応じて存在し、日本ではレースOが発生している。 |
雌穂の包葉で発生することが多い斑点性の糸状菌病。病斑は初め緑色の色あせた小点だが、後に褐色ないし紫褐色となり、直径2ー5mmの円形または楕円形の病斑となる。病斑は融合して不定形となり、表皮を破れば中には休眠胞子があり、粉状を呈する。この罹病組織が地面に落ちて越冬し、翌年胞子が発芽して遊走子を出してまん延する。 |
最近冷涼地で発生が増加している斑点性の糸状菌病害。梅雨期前後に下葉から発生し、周縁部褐色、中心部灰白色、条状、長さ0.5〜3cm、幅0.1〜0.5cm程度の中肋に沿った病斑を多数形成する。激発した場合、病斑が拡大・融合し、葉が枯れ上がる。この病徴はレース3によるもので、わが国での発生はこのレースが中心であるが、やや短い条斑を形成するレース2も発生している。特定のトウモロコシ系統に円形の病斑を形成するレース1は日本ではまだ発生していない。 |