栽培技術マニュアル

上越農業普及指導センター提供

「越のかおり」の来歴

「越のかおり」は、平成2年に中央農業総合研究センター・北陸研究センターにおいて、インド原産在来種「Surjamukhi」の高アミロース性を連続戻し交配により「キヌヒカリ」に導入して育成された、アミロース含有率が30%以上あり、製麺適性に優れた高アミロース品種です。

「越のかおり」の形態特性

移植時の苗丈は「キヌヒカリ」並の「やや短」、葉色は「コシヒカリ」並で本田における初期生育は良好である。
本田での葉色はやや淡く、葉幅はやや広い。止葉は立つ。
茎の太さは「コシヒカリ」並で、稈長は「コシヒカリ」よりも明らかに短く、「キヌヒカリ」並。
耐倒伏性は「コシヒカリ」より強く、「キヌヒカリ」よりよりやや弱い、「やや強」である。
穂長は「キヌヒカリ」よりもやや長く、「コシヒカリ」よりもやや短い。籾はやや密に着く。
穂数は「コシヒカリ」よりもやや少なく、「キヌヒカリ」並で、草型は“偏穂重型”である。
芒は無く、脱粒性は難であるが、穂発芽が「やや易」である。
千粒重は「コシヒカリ」、「キヌヒカリ」よりもやや重いが、粒厚はコシヒカリ並である。

品 種 稈長
(cm)
穂長
(cm)
穂数
(本/m2
脱粒性 芒の多少 耐倒伏性 穂発芽性 玄米千粒重
(g)
越のかおり 76 18.2 326 やや強 やや易 23.6
コシヒカリ 91 19.3 376 極弱 22.9
キヌヒカリ 79 17.7 363 やや易 22.9

「越のかおり」の生態特性

出穂期は「コシヒカリ」よりも2日ほど早く、成熟期は「コシヒカリ」と同じ中生の早に属する。
葉いもち抵抗性は「中」、穂いもち抵抗性は「やや弱」である。
紋枯病耐病性は「やや弱」である。
収量性は、標準区では「コシヒカリ」よりやや少収であるが、多肥区では「コシヒカリ」並となる。

品 種 出穂期 成熟期 いもち病抵抗性 精玄米重(kg/10a)
葉いもち 穂いもち 標準栽培(※) 多肥栽培(※)
越のかおり 8月3日 9月13日 やや弱 647 684
コシヒカリ 8月5日 9月12日 やや弱 669 691
キヌヒカリ 8月5日 9月13日 やや弱 やや弱 624 640
※標準施肥は基肥4kg+穂肥2kg、多肥栽培は基肥6kg+穂肥3kg

資料:独立行政法人中央農業総合研究センター新品種決定に関する参考成績書(水稲北陸207号)より作成

「越のかおり」の栽培上の留意点(暫定版)

<<初中期の管理>>

基本的な栽培管理は主食用品種(キヌヒカリ)に準ずることとし、育苗、水管理等は慣行とおり適正に行う。
穂数がコシヒカリよりやや確保しにくい偏穂重型品種なので、穂数確保のため、当面は極端な疎植を避け、栽植密度は50~60株/坪を基本とする。

<<施肥>>

収量は、600kg/10aを当面の目標とする。基肥量は基盤整備後、大豆跡等の高地力ほ場を除き、窒素成分で4~5kg/10a程度(リン酸、カリ成分も同量)とし、できるだけ安価な配合肥料(化学肥料)を使用する。
稈長はコシヒカリよりも短く、耐倒伏性はやや強いが、徒長するので極端な多肥栽培は避ける(当面、合計窒素成分は8kg/10a以内で様子を見る)。
穂肥の1回目は、籾数確保のため出穂25日前頃(幼穂1mm)に施用し、2回目は籾退化防止のために出穂14日前頃(幼穂3cm)とするが、1回目を重視して施用する。
玄米タンパク質含有率が高まっても問題とはならないため、出穂後に葉色が急激に落ちた場合には、後期栄養確保のため尿素または硫安を追肥する。
穂肥の窒素施用量は2回の合計で3~4kg/10aとする。
経費削減の意味で、地力のあるほ場での穂肥等の追肥は、安価な尿素または硫安での単肥施用でも可能と思われる。

<<病害虫防除>>

いもち病、特に穂いもちには弱いので、あらかじめ箱施用剤で葉いもちを予防防除し、出穂前に葉いもちが多発した場合は穂いもちの追加防除を行う。
紋枯病にもかかりやすいため、前年も紋枯病の発生が多かったほ場では、箱施用剤もしくは本田での予防粒剤の散布を行う。
紋枯病は、通常発生程度であれば防除は不要であると思われるが、出穂直前頃の発病株率が20%を超えるようであれば、粉剤または液剤で穂揃期までに防除を行う。
カメムシの斑点米が混入すると製粉時の着色の原因となるので、出穂後のカメムシ防除は慣行通り、粒剤または液剤で適期に実施する。

<<収穫・調製>>

収穫時期はコシヒカリと重なるが、米粉用で胴割れ等による品質低下が問題とはならないため、経費削減の意味も含めて、できるだけ立毛状態で自然乾燥させ、収穫は青米が完全になくなった出穂後50日頃(9月下旬)とする。ただし、穂発芽しやすいため、倒伏が見られる場合は、登熟が完了したら早めに刈り取る。
調製は1.75mm以上の篩い目で適正に調製する。
次年度の主食用米への混米を防ぐため、コンバインや乾燥調製機の掃除を徹底する。

穂肥のポイント

(1) 穂肥は2回に分けて分施し、1回目は幼穂形成期頃(幼穂長1~2mm)、2回目は出穂14日前頃(幼穂長25~30mm)に施用する。
(2) 穂肥が通常に施用できる稲姿のめやすは、幼穂形成期頃の草丈で65~70cm、茎数はm2あたり450本(60株植えで、一株あたり25本)、葉色は葉色板で4.0、SPADで36程度である。
(3) 穂肥の施用量は、通常の生育であれば2回の合計窒素成分量で3kg程度とし、籾数確保のため、1回目を重視して施用する。
(4) 極端な多肥(穂肥の窒素成分で4kg以上)では、倒伏の可能性が高まるほか、屑米の増加につながるので避ける。
(5) 大豆跡等の高地力ほ場では、基本的に穂肥の施用はしない。ただし、出穂期前に葉色が急激に落ちてきた場合は、後期栄養確保のために尿素、硫安等で追肥する。

<幼穂長確認のしかた>

<幼穂長による穂肥施用時期のめやす>

穂肥時期 出穂前日数(日) 主稈幼穂長(mm) 備   考
 
穂肥1回目→
 
 
穂肥2回目→
 
 
-24
-20
-18
-16
-14
-12
-10
1
2
8~10
15
25
80
100~125
※幼穂は、生育中庸株より主稈を採取し、
3本以上を測定する。
※採取株は畦畔から1m以上入ったところとする。

水管理

(1) 中干し後は田面を乾かさない程度の飽水管理とし、根の健全化と地耐力維持に努める。
(2) コシヒカリよりも登熟期間が長いので、出穂後は出来る限り長めに水をかける。
(3) 急激なかん水は根腐れや下葉の枯れ上がりを生じさせやすいので注意する。
(4) フェーンなどの異常高温や強風発生時は溝を利用して速やかにかん水し、障害の発生を防ぐ。異常高温などが過ぎたら、速やかに落水し、飽水管理とする。
(5) 切った溝が降雨等で戻ったり、崩れたりした場合は、再度溝を切り直す等の手直しを行う。
(6) 早期に落水すると下葉の枯れ上がりなどが発生し、登熟不良となるため、落水時期は出穂後25日以降とする。

<中干し後の田面過乾燥による問題点>

<幼穂長による穂肥施用時期のめやす>

飽水管理:湛水→自然落水を繰り返し、田面は常に湿らせておく

斑点米カメムシ類の防除

(1) 病害虫発生予察調査で、畦畔・農道にカメムシ類が多く確認されている。高温年は特にカメムシ類が多発生する場合があるため、農道・畦畔の除草と穂揃い期の本田防除を徹底する。
(2) 農道や畦畔の雑草は斑点米カメムシ類のすみかとなるため、草刈りを徹底する。ただし、出穂後の草刈りは、逆にカメムシ類を本田へ追い込むことになるため、出穂前までに必ず除草を完了させておく。
(3) 上越地域米へのイメージアップのために畦畔への除草剤散布はしない。

栽培ごよみ及び圃場での生育状況 (上越農業普及指導センター提供)

「越のかおり」栽培ごよみ「越のかおり」の栽培ごよみ及び生育に関する資料をダウンロードできます。

越のかおり栽培ごよみ(PDF版/21.1KB)
越のかおり平成22年度生育調査(PDF版)
   7月20日 ・ 8月12日 ・ 22年まとめ

越のかおり平成21年度生育資料(PDF版/172KB)

平成22年度検討会資料(PDF版)

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