二軸式エクストルーダを使った肉牛肥育用TMRのペレット化


[要約]

二軸式エクストルーダを使用することによりトウフ粕を利用した肉牛肥育用TMRをペレット化できる。カビの発生は酢酸を1%添加することで防止でき、2週間の保存が可能となる。TMRペレットの長期間給与は有効繊維長の不足により採食量が低下する。

[キーワード] 二軸式エクストルーダ、TMRペレット、酢酸、トウフ粕
[担当] 三重科技セ・畜産研究部・大家畜グループ
[連絡先] 0598-42-2029
[区分] 関東東海北陸農業・畜産草地
[分類] 技術・参考 

[背景・ねらい]

安価な高蛋白飼料であるトウフ粕を利用したTMRの給与により、低コスト肉牛生産は可能となった。しかし、給与面でトウフ粕のサイレージ化の手間やTMR給与に取り組めないことから肥育利用は進んでいない。そこで、トウフ粕を利用したTMRを更に利用しやすくするためペレット化を試みた。ペレットの製造には、高温、圧縮過程における殺菌効果と飼料の物理化学的変成に加えて品質や流通性の改善が期待できるエクストルーダを使用した。

[成果の内容・特徴]

  1. 二軸式エクストルーダ(モーター容量30kw、基準処理能力100kg/hr)による磨砕、加圧、押し出し加工により、表1に示した配合割合のトウフ粕を利用した肉牛肥育用TMRを直径10mmで長さ30mmのペレット状にできる。
  2. 加工時の発熱によりペレット化され排出されるときの温度は90度まで上昇し殺菌効果が期待されたが、製品の水分は27%と高く、保存3日目からカビが発生した。ペレット原料に酢酸(濃度90%)を1%添加することでカビの発生は防止でき、2週間の保存が可能となる(表2)。
  3. 肥育牛はTMRとの併給による馴致によりペレットの単一給与ができた。しかし、給与期間が長くなると採食量が低下した。その原因としてペレット加工による消化性の改善によるルーメン内発酵の変化と加工時の磨砕による有効繊維長の消失が考えられた(図1)。TMRとペレット給与時のルーメン内発酵パターンを調査したところ大きな変化はなく、ペレットの単一給与よりもペレットと1kgの稲ワラの併給で採食量の増加が確認されたことから、ペレット化による有効繊維長の消失が採食量低下の原因と考えられる(図2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. TMRペレット作成及び利用技術開発の基礎資料として活用できる。
  2. TMRペレットの長期単一給与を実現するためには、保存性と有効繊維長消失に留意した新たな加工処理法の開発が必要である。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名

:食品廃棄物の家畜飼料へのリサイクル技術の確立

予算区分

:県単

研究期間

:2001年度

研究担当者

:山田陽稔、平岡啓司、松井靖典

発表論文等

:山田ら(2001)、日草誌、47(別号):244〜245


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