新梢の摘心位置が欧州系ぶどう「マリオ」の果粒肥大に及ぼす影響


[要約]

根域制限し短梢せん定で栽培している欧州系ぶどう「マリオ」に対し摘心を行う際、摘心位置を房に近づけることにより樹勢を抑制することができ、果粒の肥大が促される。

[キーワード] 欧州系ぶどう、短梢せん定、摘心、果粒肥大
[担当] 茨城園研・果樹研究室
[連絡先] 0299-45-8340
[区分] 関東東海北陸農業・果樹
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]

欧州系ぶどうは樹勢が強く、樹冠を拡大することにより樹勢を落ち着かせ、安定生産がなされている。近年、色・形などに特徴のある欧州系ぶどうに対する嗜好が高まる中で、いくつかの品種が育成されているが、安定的な栽培技術はまだ確立していない。
そこで、欧州系ぶどう「マリオ」の短梢せん定栽培において新梢の摘心位置が生育・果実品質に及ぼす影響について検討した。

[成果の内容・特徴]

  1. ハウス内で樹冠面積の1/10を盛土で根域制限し、短梢せん定で栽培している欧州系ぶどう「マリオ」(樹齢14年生、台木5BB)に対し、新梢先端部の摘心を開花前(図1)に行い、生育および果実品質を調査した(1樹亜主枝間処理、1区新梢5本調査)。
  2. 新梢に対し摘心を行うと、無摘心区と比べて果粒肥大が促され裂果が多くなるが、摘心位置を着房位置に近づけることにより1果粒重が大きくなり、裂果の発生も少なくなる(表1)。
  3. 摘心後発生する副梢のそれぞれの葉枚数は、房先からの副梢の葉枚数を少なく、房基からの副梢の葉枚数を多く管理することにより、果粒が大きくなる(表2)。
  4. 乾物重の器官別構成比は、摘心位置が房から離れるほど新梢茎への分配が多くなるのに対し、摘心位置が房に近づくほど果実への分配が多く、果実生産効率は高くなる(図2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 摘心は新梢先端をハサミで切除するのではなく、新梢の未展葉部分を指先で摘むようにして行う。
  2. 樹勢の強弱により摘心位置を変え、樹勢が弱いものは房先5枚で摘心を行い、葉面積を確保する。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名 :欧州系ブドウ施設栽培技術の確立
予算区分  :県単
研究期間  :1996〜2003年度
研究担当者 :寺門巌、江橋賢治、佐久間文雄
発表論文等 :寺門・江橋・佐久間 (2001) 園学雑 70(別2):224

目次へ戻る