愛知県西三河洪積台地における生育期心土破砕によるダイズ作の収量改善


[要約]

サブソイラ施工を中耕期に条間に処理することにより、ダイズの根系の発達が助長され、特に低収ほ場や不耕起播種ほ場での収量改善に非常に有効である。また、サブソイラ施工は中耕培土作業に比べ、能率が高く、極めて省力的である。

[キーワード] ダイズ、生育期心土破砕、改善技術評価
[担当] 愛知農総試・作物研究所・栽培研究室
[連絡先] 0561-62-0085
[区分] 関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物、関東東海北陸農業・関東東海・総合研究
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]

強粘質の細粒黄色土に覆われる愛知県西三河洪積台地では、ダイズ根系の発達不良が全体の生育不良や収穫前の裂莢を招き、低収要因の一つになっている。そこで、細粒黄色土の緻密な土壌構造を改良し、ダイズ根系の発達を助長する簡易な方法を開発し、収量改善を図る。

[成果の内容・特徴]

  1. 慣行栽培における中耕期に、ダイズの隔条間にサブソイラによる心土破砕処理(以後、サブソイラ施工)を行うことによって、ダイズに障害を与えることなく、また簡易に土壌を膨軟化できる(図1)。
  2. サブソイラ施工の作業は、約1.5m/secの作業速度による処理が可能で、2連型の振動式サブソイラを使用すると慣行の中耕培土作業より高能率な作業が可能であり、大規模ダイズ作における省力化に有効である(図1)。
  3. 隔条間へのサブソイラ施工により、分枝数および着莢数が増加し、収量が向上する(表1)。
  4. この収量向上は、土壌の膨軟化による根系発達助長(表1・出液速度)に起因する子実生産効率の向上によると推察される(図2)。
  5. サブソイラ施工による収量向上効果は、多収ほ場では小さく、不耕起播種ほ場など土壌の緻密性が大きいほ場や低収ほ場ほど大きい(図3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. サブソイラ施工は作条方向に処理するため、輪換田での水田作においては田植機などの不等沈下に注意が必要である。

[具体的データ]

図1 サブソイラ施工と施工直後の条間

[その他]

研究課題名 :高品質・多収小麦・大豆体系の総合化研究
 不耕起播種を基幹とした高生産性大豆の省力栽培技術の確立
予算区分 :県単、国補(地域基幹)
研究期間 :2001〜2004年度、1999〜2002年度
研究担当者 :落合幾美、濱田千裕、谷俊男、釋一郎

目次へ戻る