レンゲ立毛中の水稲不耕起乾田直播技術


[要約]

愛知式不耕起播種機を用い、2月中旬〜4月上旬にレンゲ立毛中に水稲種子を肥料とともに播種することで、現状で計3回行っている除草剤散布回数の減少ができ、収量を下げることなく水稲の栽培が可能となる。

[キーワード] 愛知式不耕起播種機、レンゲ立毛中、除草剤回数の減少
[担当] 愛知農総試・安城農業技術センター・作物研究室
[連絡先] 0566-76-2141
[区分] 関東東海陸農業・関東東海・水田畑作物、関東東海北陸農業・関東東海・総合研究
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]

愛知式不耕起直播栽培法は、平成13年度に愛知県下385haまで普及しており、営農技術として確立しつつある。
しかし、本栽培法の除草体系は、乾田期に2回、入水後に1回と合計3回の除草剤散布により成り立っており、作業の繁雑さや環境負荷の点から回数の減少に対する要望が高まっている。そこで、除草剤散布回数の減少を目的に、レンゲ立毛中への不耕起直播栽培技術の開発を行う。

[成果の内容・特徴]

  1. 愛知式不耕起播種機を用いて、レンゲ立毛中(2月中旬〜4月上旬)に水稲種子を肥料とともに播種する。
  2. レンゲの播種時期は、9月下旬〜10月上旬に行うことにより、厳冬期前に十分な田面被覆ができ(図1)、抑草効果を示す(表1)。このため、水稲出芽前の除草剤散布を省略できる。
  3. レンゲ生育中に播種した水稲(以下レンゲ被覆区とする)は、レンゲ無区に比較して3〜5月の地温が日平均6〜10℃低く、出芽期も10〜20日程度遅くなる(図2)。このため、初期生育ではレンゲ被覆区はレンゲ無区に比べやや劣るものの、生育中期以降はおう盛な生育を示すことから、同程度の収量が確保できる(表2)。
  4. レンゲ立毛中への水稲不耕起乾田直播栽培体系は図3のとおりである。

[成果の活用面・留意点]

  1. 水稲の播種精度を確保するため、レンゲの播種前に、代かきや浅耕鎮圧を行う。
  2. 栽培体系のうち、除草剤1については、入水前の雑草発生状況により散布の有無を判断する(図3)。
  3. 本栽培法は、通常の水稲不耕起乾田直播栽培に比較して、出芽率の低下が認められるので、播種量はやや多く(10kg/10a以上)する必要がある。

[具体的データ]


図1 レンゲ播種条件と被覆程度の推移
注.レンゲの播種量は、4kg/10a  (2000〜2001年)

図2 レンゲ生育期間中の地温の推移(2001年)
 注.地表下5cmで計測。

表1 ヒエの発生量(本/a、8/3調査、2000年)

表2 レンゲの有無と生育、収量、品質の関係(コシヒカリ、2000年)


図3 レンゲ生育中の水稲不耕起直播栽培体系(コシヒカリ)

[その他]

研究課題名 :西三河洪積台地における水稲新直播栽培の組立
 省力低コスト水田輪作技術の開発
予算区分 :県単、国補(地域基幹)
研究期間 :2000〜2004年、1999〜2002年
研究担当者 :林 元樹、中嶋泰則、松家一夫、籾井隆志
発表論文等 :中嶋ら (2001) 日作紀 70(別2):11-12.

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