短日条件と群落内環境はショクヨウガヤツリの塊茎形成を促進する


[要約]

ショクヨウガヤツリは、短日条件では、塊茎形成までの期間が短くなり、地上部の生育が小さくても塊茎を形成する。塊茎形成は、明期の時間に関わらず、13時間以上の暗期により促進され、暗期の長さによって制御される。作物群落内では、地上部の生育が抑制され、塊茎の総形成数は減少するが、根茎から塊茎が形成する割合が高くなり、塊茎形成への切り換えが促進される。

[キーワード] 多年生雑草、ショクヨウガヤツリ、塊茎形成、短日、暗期、群落
[担当] 中央農研・耕地環境部・畑雑草研究室
[連絡先] 0298-38-8426
[区分] 関東東海北陸・関東東海水田畑作物
[分類] 科学・参考

[背景・ねらい]

ショクヨウガヤツリは、外来の難防除多年生雑草であり、飼料畑等で大きな雑草害を与えている。この雑草を合理的に制御するためには、塊茎の形成特性を明らかにする必要がある。ここでは、光との関係を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. ショクヨウガヤツリは移植日が遅くなると、塊茎形成までの期間が短縮される。8月下旬以降に移植した場合、地上部の生育が極端に小さくても、塊茎を形成する(表1)。塊茎の総形成数は、生育期間に応じて増加する。
  2. 日長を24時間周期で変えた場合、10時間日長では、地上部の生育が小さいにもかかわらず、塊茎を形成するが、16時間日長では、地上部の生育が大きくならないと塊茎が形成されない(図1)。明期を16時間にして暗期の長さを延長すると、暗期13時間以上で著しく塊茎形成が促進される(図2)。これらのことから、ショクヨウガヤツリの塊茎形成は、暗期の長さによって制御される。
  3. 作物(飼料用トウモロコシ)群落内において、ショクヨウガヤツリは、地上部の生育と根茎形成が抑制されるため、塊茎の総形成数は減少する。しかし、地上部が小さい段階で、根茎が塊茎に変わる割合が高く、塊茎形成への切り換えが促進される(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. ショクヨウガヤツリは、遅れて萌芽した場合や作物群落内において、地上部が小さくても塊茎を形成することから、推奨される土壌処理剤と茎葉処理剤の体系処理によって早めに防除することが重要である。
  2. 試験には西那須野町産を用いた。ショクヨウガヤツリには種内変異が知られており、塊茎形成特性にも違いがあることが予想される。
  3. ショクヨウガヤツリが反応する最少光量について、さらに検討する必要がある。
  4. この試験では、光以外の要因は考慮しなくてよいように設計したが、養分等の影響については別途検討が必要である。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名 :ショクヨウガヤツリの塊茎形成特性の解明と制御技術の開発
予算区分 :交付金
研究期間 :1999〜2001年度
研究担当者 :澁谷知子、李博、與語靖洋
発表論文等 :1)澁谷ら(1999)雑草研究44(別):260-261.
  2)Shibuya and Yogo(1999)Proceedings of 17th APWSS: 77.
  3)Li et al.(2001)Plant Species Biology16:69-81.

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