活性炭フロアブル剤を利用したアスパラガスのアレロパシー軽減技術


[要約]

アスパラガス改植時のアレロパシー対策として、定植前に活性炭フロアブル剤25〜100倍希釈液を定植位置に10a当たり400〜1,000L散水するか、25倍希釈液にセルトレイを浸漬し、培土に十分しみ込ませた後に定植すると、改植後の初期生育促進効果が高い。

[キーワード] アスパラガス、アレロパシー、活性炭フロアブル剤、改植
[担当] 長野野菜花き試・野菜部
[連絡先] 026-278-6848
[区分] 関東東海北陸農業・関東東海・野菜
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]

アスパラガスはユリ科の多年生宿根性植物で、長野県では30年以上栽培している農家も見られるが、経済的栽培年限は一般に10年程度である。長野県の栽培面積は1930ha(1999年)で、年間200ha程度が改植時期に当たるが、改植後、新植圃場に比べて減収したり、若年株から欠株が発生するなどの障害が多くみられる。これには、病害虫、植物栄養分の過不足、土壌の物理性・理化学性の悪化などの他にアレロパシーの関与が指摘されている。そこで、活性炭フロアブル剤を利用したアスパラガスのアレロパシー軽減技術を開発する。

[成果の内容]

  1. 活性炭フロアブル剤を処理しない場合、レタスの幼根伸長は抑制されるが、活性炭フロアブル剤を加えると幼根伸長は回復し、高濃度にするほど幼根長は長くなり、アレロパシーを軽減する。活性炭フロアブル剤はレタスの発芽に影響を及ぼさない(表1)。
  2. 活性炭フロアブル剤を処理すると、茎数、茎重、貯蔵根数、地下部重等が増加し、株養成量も優れ(表2)、高濃度にするほど効果が高い(表2)。また、定植時にセル成型苗のセルトレイを25倍希釈液に浸漬しても、定植位置に散水する場合と同様の効果がある(表3)。
  3. 2年株でも1年株と同様に地下部の生育が優れることから、改植時の活性炭フロアブル剤処理はその後のアスパラガスの生育にも影響していると考えられる。さらに、2年株春どりの収量も活性炭フロアブル剤の散水量が増えると増収する(表4)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 活性炭フロアブル剤は、25〜100倍に希釈して定植位置に10a当たり400〜1000L散水し、耕起後に定植するか、あるいはセル成型苗のセルトレイを25倍希釈液に浸漬し、培土に十分しみ込ませた後に定植するとよい。
  2. 本剤の効果は吸着による効果と考えられるため、他資材との混用は避ける。
  3. 活性炭には多くの種類があり、原料や製造法の違いによっても性質が異なるため、本剤以外の活性炭については現在検討中である。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名 :軽量野菜の品種特性の解明と栽培技術の確立
予算区分 :県単研究(基礎)
研究期間 :1998〜2000年度
研究担当者 :元木悟、小澤智美、小松和彦、塚田元尚
発表論文等 :1)元木ら (2000) 園学雑 69(別1):249
  2)元木ら (2000) 園学雑 69(別2):385
  3)元木ら (2001) 園学雑 70(別1):107

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