観賞照度、BAによるポットカーネーションの品質保持法


[要約]

ポットカーネーションは、観賞照度が高いほど開花数が多くなり、葉の黄化や蕾の枯死が抑制されるため、品質が長く保持される。また、観賞前にBA(ベンジルアデニン)を散布すると観賞中の葉の黄化や蕾の枯死が抑制されると同時に、観賞後半の同時開花数が多く維持され、品質が長く保持される。

[キーワード] ポットカーネーション、観賞照度、BA、品質保持
[担当] 茨城農総セ・園研・花き研
[連絡先] 0299-45-8341
[区分] 関東東海北陸農業・関東東海・花き
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]

ポットカーネーションは、母の日用ギフトに使われる主要な鉢花であるが、消費者の手に渡ってから蕾が開花せずに枯死するなど、期待したような観賞期間が得られないといった問題点が指摘されている。主な原因として室内観賞による光量の低下が考えられるので、品質保持に対する観賞照度の影響を明らかにし、併せて老化防止効果があるとされるBAの影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

いずれも3.5号鉢植えの「ベイビーハート」を供試した。

  1. 観賞照度の影響
    1. 照度が高いほど開花数は多く、黄化葉数及び枯死蕾数は少なくなる(表1)。
    2. 照度が高いほど蕾の開花率が高まって(表1)鉢当たりの開花数が多く維持されるため、観賞価値が高まる。また、枯死する蕾も少なくなる(表1)。
  2. BAの影響
    1. 観賞前にBAを散布(約4ml/鉢を株全体にスプレー)すると葉や蕾の緑色が長く保たれ、黄化葉や枯死蕾の発生が少なくなる(表2)。
    2. BA散布によって一花の開花期間が長くなり、観賞後半の同時開花数が多く維持される(表2図1図2)。
    3. BA散布による品質保持効果は100mg/lで高い。ただし、BA散布によって蕾が開花するまでの期間が長くなり、一時的に開花数が少なくなる場合がある(データ省略)。
    4. 以上から、ポットカーネーションの品質保持にはできるだけ明るい場所で観賞すること、出荷時に100mg/l程度のBA溶液を株全体に散布することが有効である。

[成果の活用面・留意点]

  1. 消費者へ適切な管理アドバイスをすることができる。
  2. 品質保持性の優れたものを生産することができる。
  3. BAの薬剤登録はない。
  4. BA処理によって一時的に開花数が少なくなる場合がある。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名 :鉢もの花きにおける観賞持続性向上のための順化処理及び根圏管理技術の開発
予算区分 :国補(新技術)
研究期間 :1998〜2000年度
研究担当者 :駒形智幸、本図竹司、高城誠志
発表論文等 :駒形ら(2002)園学雑別1(71)掲載予定

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