市販品種を利用したレタス根腐病菌の簡易レース検定法


[要約]

レタス品種のコスタリカ4号(ロメインレタス)、晩抽レッドファイヤー(リーフレタス)およびパトリオット(クリスプヘッドレタス)を判別品種として用いると、レタス根腐病菌のレース判別が可能である。

[キーワード] レタス根腐病、レース、レース検定、判別品種
[担当] 長野県野菜花き試験場・病害虫部
[連絡先] 026-278-6848
[区分] 関東東海北陸農業・関東東海・病害虫、関東東海北陸農業・関東東海・総合研究
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]

レタス(クリスプヘッドレタス)根腐病は、国内では長野県の産地でのみ発生し、生産地に甚大な経済的被害を与えている。本病に対する抵抗性品種探索の過程で本病菌Fusariumoxysporum f. sp. lactucaeの特定の品種に対する病原性差異が認められたことから、これらを明らかにするとともに、入手が容易な市販品種を用いたレース判別の手法を確立する。さらに、市販品種を利用したレース検定により長野県内のレース分布の実態を明らかとし、抵抗性品種の導入並びに効率的利用をはかる。

[成果の内容・特徴]

  1. 本病菌のSB1-1およびF9501菌株は、レタス品種・系統のパトリオット、VP1010、VP1013に対して明らかに病原性が異なり、VP1013およびパトリオットに病原性が認められるレース1と、VP1010およびパトリオットに病原性が認められるレース2に分化していることが判明した。また、市販品種の晩抽レッドファイヤー(赤リーフレタス)、コスタリカ4号(ロメインレタス)、およびパトリオット(クリスプヘッドレタス)に対しても同様に病原性が異なり(図1)、これら市販品種を用いることによってレース判別が可能である。
  2. 長野県の主要レタス産地の異なる圃場から収集したレタス根腐病菌92菌株も、同3品種に対する病原性が異なる2つの系統に類別され、レース1は塩尻市に分布し、レース2は川上村に分布する(表1)。
  3. 単一ほ場でのレースの混在は認められていないことから、上記の判別品種を直接発病ほ場に作付し、各品種の発病程度から圃場内の病原菌レースを判別することも可能である(表2図2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 判別品種(コスタリカ4号、晩抽レッドファイヤー、パトリオット)を発病ほ場に作付することよるレース判別法は、生産者自身が根腐病菌のレースを判定でき、栽培品種の選定に役立てることができる。

[具体的データ] 

[その他]

研究課題名 :植物抵抗性誘導技術を核としたレタス根腐病の総合防除
予算区分 :国補(地域基幹)
研究期間 :1999〜2003年度
研究担当者 :藤永真史、小木曽秀紀、清水時哉
発表論文等 :(1)レタス根腐病防除の現状と課題、土壌伝染病談話会レポート、第20号、152-160、2000
  (2)Physiological Specialization of Fusarium oxysporum f. sp. lactucaae, a Causual Organism of Fusarium Root Rot of Crisp Head Lettuce in Japan, Journal of General Plant Pathology Vol.67, No.3, 205-206. 2001

目次へ戻る