いもち病抵抗性同質遺伝子系統「コシヒカリ新潟BL1〜8号」


[要約]

「コシヒカリ新潟BL1〜8号」は連続戻し交配によりいもち病真性抵抗性遺伝子Pia、Pii、Pita-2、Piz、Pik、Pik-m、Piz-t、Pibを持たせた、「コシヒカリ」のいもち病抵抗性同質遺伝子系統である。

[キーワード] コシヒカリ新潟BL、戻し交配、いもち病、真性抵抗性遺伝子
[担当] 新潟農総研・作物研・育種科(品種育成)
[連絡先] 0258-35-0047
[区分] 関東東海北陸農業・北陸・水田畑作物
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]

「コシヒカリ」はいもち病に弱いため、通常数回の農薬防除が行われている。しかし、米の価格が低迷する中で生産コストを抑えるために防除の軽減が求められている。また、消費者は農薬の使用を減らした「コシヒカリ」や環境に対する影響が少ない農業を要望している。そこで、「コシヒカリ」のいもち病抵抗性系統を多数育成し、各品種を混植することにより、減農薬栽培による低コスト化と環境保全型農業を進める。

[成果の内容・特徴]

  1. 「コシヒカリ新潟BL1〜8号」は、「コシヒカリ」に個々のいもち病真性抵抗性遺伝子を持つ「ササニシキ」、「トドロキワセ」、「PiNo.4」、「新潟早生」、「越みのり」、「ツユアケ」、「とりで1号」、「BL1」をそれぞれ父として交配し、その後「コシヒカリ」を5〜6回戻し交配して育成した。
  2. 「コシヒカリ新潟BL1〜8号」は、それぞれいもち病真性抵抗性遺伝子Pia、Pii、Pita-2、Piz、 Pik、Pik-m、Piz-t、Pibを持つ、いもち病抵抗性同質遺伝子系統である。
  3. 熟期、玄米収量、品質、食味など、いもち病抵抗性以外の諸特性は「コシヒカリ」とほぼ同じである。

[成果の活用面・留意点]

  1. 「コシヒカリ新潟BL1〜8号」は、混植栽培によりいもち病の発生を抑えることが期待できる。
  2. 「コシヒカリ新潟BL1〜8号」は、単一品種の作付けを続けるといもち病抵抗性が崩壊するので、単一使用はしない。
  3. 「コシヒカリ新潟BL1〜8号」を利用した環境保全型稲作の展開に向けて、いもち病菌レースの分布調査、効果的な混合割合および種子生産体制の検討が必要である。

[具体的データ]

表1 特性概要

注)調査地:新潟県農業総合研究所作物研究センター 調査年次:1999〜2000年
  いもち病発病程度:塩沢町(常発地)における成績 1999〜2000年 0(無)〜10(枯死)

[その他]

研究課題名 :消費ニーズに対応する省農薬型コシヒカリ品種開発、水稲新品種育成試験
予算区分 :県単特別、県単経常
研究期間 :1998〜2000年度(県単特別)、1986〜1997年度(県単経常)
研究担当者 :星豊一、阿部聖一、石崎和彦、重山博信、小林和幸、松井崇晃、田村隆夫、  原田惇、中嶋健一、金山洋、樋口恭子、佐々木行雄、竹内睦、東聡志、阿部徳文、  近藤敬、小関幹夫、平尾賢一、浅井善広
発表論文等 :1)「コシヒカリ新潟BL1〜3号」は品種登録済み(2000年12月)、 「コシヒカリ新潟BL4〜8号」は品種登録申請中
  2)重山ら (2001) 育種学研究 3(別2):162

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