「ファイバースノウ」における適正な播種時期および苗立数


[要約]

「ファイバースノウ」では、高品質多収のための適正播種時期は9月下旬〜10月上旬で、また適正苗立数は160〜180本/平方メートルである。

[キーワード] 大麦、ファイバースノウ、播種時期、苗立数、穂数、子実重、硝子率
[担当] 富山農技セ・農業試験場・機械営農課
[連絡先] 076-429-5280
[区分] 関東東海北陸農業・北陸・水田畑作物
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]

麦の流通が民間流通に移行し、大麦の高品質安定多収が求められるなか、富山県では従来から栽培されている「ミノリムギ」が気象変動の影響を受けやすく、単収及び品質が不安定になっていた。そのため、平成12年度に大粒で加工適性が高い「ファイバースノウ」を奨励品種に採用した。そこで、「ファイバースノウ」の高品質安定多収栽培技術を確立するために適正な播種時期と苗立数を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 「ファイバースノウ」の9月下旬から11月上旬の播種では、播種時期が10月上旬までは500本/平方メートル以上の穂数で、子実重が十分確保できる(図1)。また、播種時期が遅くなるほど、硝子率が高くなり品質が低下する(図2)。
  2. 「ファイバースノウ」では、苗立数120本/平方メートル以上で500本/平方メートル以上の穂数が確保でき、苗立数が160〜180本/平方メートルで、子実重が最も多くなる(図3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 砂壌土における「ファイバースノウ」のドリル播の高品質安定多収栽培に活用できる。
  2. 本情報は、砂壌土において慣行施肥法(N:元肥6+越冬前4+消雪後4+止葉展開期2kg/10a)の条件で得られたものである。
  3. 苗立ち率を70%とした場合の適正播種量は6.5〜7.3kg/10aである。
  4. 「ファイバースノウ」の春化要求度は「ミノリムギ」と同等程度で、9月下旬前の極端な早播きは不時出穂の危険があるので避ける。

[具体的データ]


図1 播種時期と子実重および穂数の関係
   注)子実重は粒厚2.2mm以上で調査


図2 播種時期と硝子率の関係
   注)硝子率は粒厚2.2mm以上で調査


図3 苗立数と子実重および穂数の関係
   注)播種日 1999年:10/4、2000年:10/5
     子実重は粒厚2.2mm以上で調査

[その他]

研究課題名 :多雪地における六条大麦の高品質・安定多収栽培技術の確立
予算区分 :21世紀プロ1系(受託)
研究期間 :1999〜2001年度
研究担当者 :野村幹雄、高橋 渉、尾島輝佳、南山 恵、中谷朋恵
発表論文等 :なし

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