催芽時の糖類水溶液処理によるイネ褐条病発病抑制効果


[要約] 

細菌性苗立枯症である褐条病の発病をグルコース、ガラクトースおよびスクロース液中で催芽することで抑制できる。

[キーワード] 褐条病、糖類、催芽時処理
[担当] 富山農技セ・農業試験場・病理昆虫課
[連絡先] 076-429-5249
[区分] 関東東海北陸農業・北陸・生産環境
[分類] 科学・参考

[背景・ねらい]

環境保全型農業が推進される中で化学農薬を使用しない病害防除が注目されている。また有効な化学農薬に対する耐性菌の発達も大きな問題となっている。そこで糖液処理によるイネ褐条病の発病抑制効果を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. グルコース(Glucose)、ガラクトース(Galactose)およびスクロース(Sucrose)液中にて催芽処理することでイネ育苗期に発生する褐条病の発病が抑制される。(表1)(図1)。
  2. 効果のある糖液濃度は5%以上である(図2)。
  3. 種子を糖液中にて催芽処理したのち、イネ褐条病菌を接種しても発病抑制効果が認められる(図3)。
  4. もみ枯細菌病には発病抑制効果が認められない(図4)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 糖液中にて催芽処理することによってイネの生育が旺盛になる。
  2. 糖液中による催芽処理で液中に雑菌の発生は認められない。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名 :水稲育苗期の細菌性病害の発生生態と防除法
予算区分 :県単
研究期間 :1999〜2002年度
研究担当者 :梅沢順子、岩田忠康、守川俊幸
発表論文等 :種籾の糖液や土壌懸濁液処理がイネ褐条病の発生に及ぼす影響
  平成13年度 日本植物病理学会大会(講演要旨、2001年)にて一部発表

目次へ戻る