マイタケを用いた機能性飲料の製造技術


[要約]

マイタケのエンドペプチダーゼを利用して、豆乳などの蛋白質溶液を分解することにより、アンジオテンシン変換酵素阻害能を有する飲料が製造できる。

[キ−ワ−ド]

マイタケ、エンドペプチダーゼ、蛋白質溶液、ACE阻害能

[担当]

新潟農総研食研セ・園芸特産食品科

[連絡先]

0256-52-4230

[区分]

関東東海北陸農業・北陸・流通加工

[分類]

技術・普及


[背景・ねらい]

新潟県はマイタケの主生産県(全国シェアの80%以上)で、そのほとんどがトレーパック詰で出荷されているが、整形の際に切れ端や石突き部が生じるため、その利活用が必要である。そこで、マイタケのもつ非常に強力なエンドペプチダーゼ(蛋白質をランダムに切断する酵素)を利用し、血圧上昇抑制効果のあるといわれる、アンジオテンシン変換阻害能のある飲料を開発する。

[成果の内容・特徴]

  1. エンドペプチダーゼの制御
     蛋白質溶液にエンドペプチダーゼを作用させるにはpHを中性から弱アルカリ性に調整する(図1)。エンドペプチダーゼの反応を停止するには80℃まで加熱する(表1)。
  2. 基質とアンジオテンシン変換酵素阻害能
     大豆蛋白質をエンドペプチダーゼにより分解した溶液は強いアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害能がある(表2)。
  3. 豆乳飲料の試作例
     大豆を十分吸水させ、浸漬した大豆に水を加え(重量比3:17)磨砕する。これを3分間沸騰させ、濾布により搾る。搾汁をBrix=8になるよう加水し、45℃まで冷却する。これに凍結乾燥したマイタケ粉末を搾汁に対し0.1%(重量)加え、45℃・2時間反応さる(pH7.0)。これを沸騰水中で20分間加熱殺菌する(図2)。試作された豆乳飲料は無処理品と同様良好なものである。無処理品及び処理品を水で10倍希釈したときの、アンジオテンシン変換酵素阻害率はそれぞれ67.3%、87.8%となる。

[成果の活用面・留意点]

  1. 豆乳、乳製品などの蛋白質を含む飲料製造に広く適用できる。
  2. エンドペプチダーゼを作用させる際、微生物等の衛生管理に注意が必要。

[具体的データ]


図1 エンドペプチダーゼ活性のpH依存性
    unit:40℃・1時間で280nmにおける吸光度を1上げる活性


図2 豆乳飲料の試作例(フローチャート)

[その他]

研究課題名

:酵素・微生物等の利用によるマイタケの機能性成分への変換技術の開発

予算区分

:国補(地域先端)

研究期間

:1998〜2000年度

研究担当者

:吉水聡、西脇俊和、渡辺聡、太養寺真弓、佐藤嘉一

発表論文等

:1)吉水ら、「マイタケを用いた高機能食品の製造法」・特願2000-156548号
 2)吉水(2000) 地域農産物の品質・機能性成分総覧:463-466


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