「クイックスイート」は加熱時間と調理法の表示が販売のポイント



[要約]
ホームユーステストの結果から、サツマイモ「クイックスイート」は、ほとんどの料理に利用可能であると評価できる。また、電子レンジ調理向きという手軽さから若年層の評価が高いが、販売に際しては、電子レンジでの加熱時間や調理法を表示する必要がある。

[キーワード]
サツマイモ、新品種、ホームユーステスト、マーケティングリサーチ

[担当]中央農研・経営計画部・マーケティング研究室
[連絡先]電話 0298-38-8851
[区分]関東東海北陸農業・経営、水田畑作物
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 産地が新規農産物を導入する場合、生産関連の情報は多いが、当該農産物の商品特性や販売方法に関する詳細な情報は得られないことが多い。そこで本研究では,消費者調査手法であるホームユーステスト(以下はHUTと記述)を用いてサツマイモ新品種のクイックスイート(系統名「関東116号」、以下はクイックと記述)の商品特性及び販売方法を解明し、産地が当該農産物を新規導入する場合の参考とする。
 なお、クイックは、糊化温度が低い澱粉を含むため、加熱調理が迅速で、電子レンジ調理においても良好な食味を示す青果用サツマイモの新品種である。

[成果の内容・特徴]
1. 「基本料理」の「電子レンジを使った蒸しいも」では、味や繊維質、食感(しっとり感、ほくほく感)に関するクイックの評価は、ベニアズマとほぼ同等または高いが、色に関しては劣る(図1)。その他の「基本料理」である「蒸しいも」、「フライパンを使った焼きいも」、「天ぷら」については、「電子レンジを使った蒸しいも」の評価ほど高くはないが、ベニアズマとほぼ同等である。
2. 「自由料理」の場合、クイックの評価は、2002年度の彩り以外はベニアズマと同等である(図2)。また、高得点(7点、6点)である「自由料理」は、洋和菓子や煮込み系料理、蒸し系料理、汁物系料理、サラダなどである(表1)。
3. 消費者の意見をみると(表1)、注目すべきは、調理の時間短縮はできるが、電子レンジでの加熱時間が難しい、調理法が欲しいという意見が比較的多い点である。つまり、販売時における電子レンジの加熱時間と調理方法の表示が必要であるといえる。また、冷めてからも美味しい、色が変わらない、弁当に向いているなどの意見があり、販売時には、こうした内容のプロモーションが重要である。
4. 「基本料理」、「自由料理」を通じてのクイックの総合評価は、ベニアズマとほぼ同等であるが、若年層(30歳代)の評価がやや高く、こうした世代を中心に受け入れられる可能性が高い(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. HUTとは、調査対象者が家庭生活の中で商品を使用し、その結果を調査用紙等に記録する方法である。調査対象者は、2002年度はつくば市周辺の30〜60歳の30世帯、2003年度は南関東の30〜60歳の30世帯である。
2. クイックは、家庭内での調理時間が短縮化している中で、消費者のニーズに合致する可能性が高く、有望な品種である。そのため、当初から消費者に受け入れられるように、プロモーションを含めた綿密な販売計画の元で、生産計画を策定する必要がある。

[具体的データ]
 

[その他]

研究課題名:都市近郊青果物産地における販売戦略策定支援手法の開発
課題ID:03-03-03-01-02-03
予算区分:交付金
研究期間:2002〜2005年度
研究担当者:河野恵伸、大浦裕二、石橋喜美子、中谷誠(以下、作物研)、藏之内利和、田宮誠司


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