観光果樹園における顧客確保のための利用者分類


[要約]
リンゴ中心の観光果樹園利用者をもぎとり等を主目的とする「体験的利用層」、もぎとりとリンゴ購入目的の「もぎとり・リンゴ利用層」、もぎとりとリンゴ・他の果物購入を目的とする「もぎとり・果物利用層」、リンゴ購入を目的とする「リンゴ購入重点層」の4グループに分類した。

[キーワード]観光果樹園、利用者分類、因子分析、クラスタ分析、分散分析

[担当]群馬農技セ・地域共同開発室・経営流通グループ
[連絡先]電話 0270-62-1021
[区分]関東東海北陸農業・経営
[分類]行政・参考

[背景・ねらい]
 観光果樹園などのレクリエーションを兼ねる直売形態の場合、利用者の来園目的に応じた対応が必要である。そこで、利用者を利用目的別に分類し、その特徴を明らかにして安定的顧客確保のための方策策定に役立てる。

[成果の内容・特徴]
1. リンゴを中心とする観光果樹園の顧客等を対象に実施した郵送式アンケート(215通)を用いて、観光果樹園の今後の利用意向について、因子分析(最尤法)により3因子[因子1:もぎとり等、因子2:他の果物(ブドウ、サクランボ、ブルーベリー等)購入、因子3:リンゴ購入]に集約した上で(表1)、算出された因子得点を用いてクラスタ分析(Ward法)を行った結果、4グループに分類できた。
2. 因子得点と合計の平均から各グループの意味付けを行った(図1)。
(1) 第1グループ[第1G]:全ての因子得点が負で、特に購入関係の因子が低いため「体験的利用層」とした。観光果樹園の初心者層と考えられる。
(2) 第2グループ[第2G]:因子得点は他の果物の購入以外全て正であることから「もぎとり・リンゴ利用層」とした。
(3) 第3グループ[第3G]:因子得点が全て正であり、相対的に最も積極的な客層であるため「もぎとり・果物利用層」とした。他の果物を中心に購入意欲が高い。
(4) 第4グループ[第4G]:リンゴ購入の因子得点以外は負であることから「リンゴ購入重点層」とした。因子1「もぎ取り等」は特に低く、徐々にもぎとり等から離れる客層と判断される。
3. 利用評価について一元配置分散分析を行い、各グループの特徴を整理した(表2)。
(1) 体験的利用層[第1G]:評価でも全般的に低めであるが、「食べ放題」や「サービス」等のもぎ取りに関わるレクリエーション関係が相対的にやや高く、利用動機になっていると考えられる。顧客化にはこれを足がかりにすることがポイントである。また、年齢は比較的若い。
(2) もぎとり・リンゴ利用層[第2G]:販売・サービス関係を中心に評価は高くなるが、「販売方法」や「接客」の評価が相対的にやや低い。印象などでは「楽しさ」や「安全性」等が評価されている。品質で利用意向が反映され他の果物関係の評価はやや低い。
(3) もぎとり・果物利用層[第3G]:全般的に評価は高く上位の項目が多い。リンゴの購入意欲は高いグループであるが「リンゴの食味」は相対的にやや低い評価である。
(4) リンゴ購入重点層[第4G]:全般的に低い評価である。「販売方法」、「接客」、「果物の価格」等の販売・サービス関係については、第1Gとは対照的な項目でやや高い評価である。また、リンゴの購入意欲は高いグループに関わらず「リンゴの食味」は低い評価である。なお、年齢は比較的高い。

[成果の活用面・留意点]
  内容が異なる観光果樹園では、その関係を考慮して用いる。


[具体的データ]



[その他]
研究課題名:観光果樹園の経営管理と展開方向
予算区分:県単
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:高橋伸幸、落合芳雄

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