畜種別に見た家畜ふん堆肥等の利用促進上の課題


[要約]
千葉県内の野菜農家へのアンケート調査結果によると、家畜ふん堆肥等の利用促進上の課題として、牛ふん系・豚ぷん系では、施用効果の明確化、施用による障害の原因除去、鶏ふん系では、価格設定や表示の明確化が重要である。

[キーワード]家畜ふん、堆肥、露地野菜、施設野菜、牛ふん、豚ぷん、鶏ふん

[担当]千葉農総研・企画調整部・経営調査室
[連絡先]電話 043-291-9993
[区分]関東東海北陸農業・経営
[分類]行政・参考

[背景・ねらい]
 家畜排せつ物法等の制定に対応した家畜排せつ物の有効利用促進の必要性にかんがみ、千葉県内の野菜農家(166サンプル:露地野菜専業経営50戸、施設キュウリ経営96戸、イチゴ経営20戸)を対象としたアンケート調査データにより、利用者から見た家畜ふん堆肥等の畜種別の位置付けを把握し、利用促進上の課題を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 「現在利用している家畜ふん堆肥等の畜種」、「家畜ふん堆肥等の保管・利用形態のタイプ」、「利用に係る土壌改善効果・肥料効果の重視度」、「現在利用している家畜ふん堆肥等の問題点」の4つの回答項目(回答比率は、に示すとおり)に、アンケート調査などの質的データの類似性を把握する手法である数量化理論3類分析を適用する。
2. 数量化理論3類分析から得られた第1軸(肥料的性格を表す軸:固有値0.3356、寄与率13.8%)及び第2軸(土壌改良材的性格を表す軸:同0.3020、12.5%)のカテゴリースコアを二次元に配置した結果は、に示すとおりで、項目間の近接性から解釈した畜種別傾向は次のとおりである。
(1)豚ぷん系(図内「X領域」)
・土壌改善効果重視ないしは土壌改善効果と肥料効果の中間的な位置に近接する。
・堆肥素材として保管後、利用される傾向がある。
・臭気、腐熟度合いが問題視される傾向がある。
(2)牛ふん系(図内「Y領域」)
・土壌改善効果重視に近接する。
・腐熟度合い、塩分濃度、雑草種子混入などが問題視される傾向がある。
(3)鶏ふん系(図内「Z領域」)
・肥料効果重視への明確な近接性がある。
・価格や表示などを問題視する傾向がある。
3. 分析結果から、家畜ふん堆肥の供給上の課題として、以下の点が重要である。
(1) 牛ふん系及び豚ぷん系では、施用効果の明確化・差別化を図るとともに、施用による各種障害の原因や臭気の除去を確実に行うことが課題となる。
(2) 鶏ふん系は、肥料効果を特性とした明確な位置付けを確保していると考えられ、適切な価格設定、成分表示、品質保証の明確化が課題となる。


[成果の活用面・留意点]
1. 行政施策等で、家畜ふん堆肥等の利用促進を行う際に、畜産経営者等の堆肥に関するマーケティング活動を支援する上での参考となる。
2. 家畜ふん堆肥等の需給構造は、地域の農業構造や畜種構成によって異なるため、地域単位での利用者ニーズの把握が重要であり、ここに示した畜種別のニーズの違いを意識した分析の枠組みが参考となる。
3. 一般的には「家畜ふん堆肥」という名称が使用されるが、乾燥鶏ふんのように「堆肥」と性格の異なる資材も存在するため、ここでは「家畜ふん堆肥等」と表現する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:農業経営体の堆きゅう肥等に関するニーズの解明
予算区分:県単
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:栗原大二

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