農業センサスを利用した農家世帯員の就業動向予測モデル


[要約]
農業センサスの農家個票を用いて農家世帯の就業動向及び集計量としての地域の就業動向を予測するマイクロ・シミュレーション・モデルである。推計は世帯ごとになされるので、利用目的に応じた区分で農家世帯員の就業動向の予測結果を集計できる。

[キーワード]就業予測、農家個票、マイクロ・シミュレーション・モデル

[担当]中央農研・経営計画部・経営設計研究室
[連絡先]電話 029-838-8414
[区分]関東東海北陸農業・経営、共通基盤・経営
[分類]行政・参考

[背景・ねらい]
 自治体の農業振興施策の策定・評価に際し、農家世帯員の就業動向は重要な指標の1つである。地域農業構造の動向を予測する方法としては、個別データ(農家個票)を集計した集計量を用いて統計学的に予測する方法と、個別データを用いて個別(農家世帯)の動向を予測し、その予測値を集計して地域の動向を予測する方法に大別される。ここでは、主に後者の方法を採用して、農家世帯員の就業選択の行動基準を組み込んだ、農家世帯員の就業動向を予測するモデルを開発する。

[成果の内容・特徴]
1. モデルは、就業動向のうち、出生、死亡等に係る人口学的変動を推計するブロック、及び就業選択、労働能力等に係る就業変動を推計するブロックから構成され、これらの推計ブロックを1年ごとに各世帯員及び各世帯について実行する。推計は、主に1995年の『農業センサス』農家個票に基づいており、1996以降、任意の年次まで実行することができる。
2. 人口学的変動は、『人口動態統計』の出生(出産)、結婚、死亡に関するデータから、これらの事象の年齢階層別発生確率を計算し、それを1年ごとに1歳加齢される世帯員すべてに適用して確率論的に推計する。
3. 就業変動は、各世帯員あるいは各世帯について、高齢化に伴う就業可能日数の調整、引退、新規参入労働力の就農か否かの判定、農業所得と農外機会所得の推計、世帯内労働需給状況による農業と兼業への労働配分等を処理して、推計する。『農業センサス』農家個票で把握できない農業経済・経営に関する情報は、『農業経営統計調査』等の公表データを利用する。なお、離農に関しては、1990年と1995年の『農業センサス』農家個票から経営耕地規模階層別離農率を計算し、それを各世帯に適用して離農するか否かを確率論的に推計する。
4. このモデルによる、茨城県S市を対象とした、1996〜2020年の推計結果を表1図2に示す。表1の2000年の推計結果を、表の最下段に表示した2000年の実績値と比較すると、専業兼業別農家数は乖離が大きいが、農家総数は2.0%過大、年齢別農家人口は15歳未満で7.5%過大、その他年齢階層で1.0〜2.4%過大、年齢別基幹的農業従事者数は6.5%〜8.8%過小の推計となっている。

[成果の活用面・留意点]
1. 市町村単位に、農家人口と農家数を推計し、地域農業の振興施策の検討資料となる。なお、市町村より狭い集落等の単位での推計も、推計に必要なデータを入手できれば可能である。
2. 集計に関するプログラムの箇所をExcelのVBAで修正することにより、利用目的に応じた、年齢、世帯員数、経営耕地面積等を指標とした区分で集計することができる。
3. 『農業センサス』農家個票の利用には、統計法の規定による総務省の承認が必要である。
4. 2000年『農業センサス』を推計に利用するには、それ以外のデータも更新する必要がある。
5. モデルの利用にはExcel95以降が必要である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:農業就業者の変動予測モデルの開発
課題ID:03-04-03-01-04-02
予算区分:農村経済活性化
研究期間:2000〜2002年度
研究担当者:大石亘
発表論文等:大石亘(2003) 関東東海農業経営研究 94号

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