光触媒による水稲種子消毒農薬廃液の浄化処理方法


[要約]
水稲種子消毒の際に生じる農薬を含有する廃液の簡易な浄化処理法を検討した。浅い水槽を太陽光の当たる野外に設置し、酸化チタン光触媒担持した多孔質板を水槽内に置き、そこへ廃液を投入すれば処理可能であることがわかった。

[キーワード]光触媒、農薬廃液、太陽光

[担当]神奈川県農業総合研究所・生産技術部
[連絡先]電話 0463-58-0333
[区分]関東東海北陸農業・作業技術
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 水稲の種子消毒は、安定生産のために不可欠であるが、消毒後の農薬を含む排液を適切に処理する必要が生じる。神奈川県では、現在活性炭を用いる処理を指導しているが、煩雑な処理過程があり、それに加えて使用した活性炭の適正処分が必要となる。
 そこで、太陽光と酸化チタン光触媒を利用した低コストで簡便な水稲種子消毒廃液処理方法を開発した。


[成果の内容・特徴]

1. 水稲種子消毒は消毒後、催芽のために5日間水に浸ける。この水を毎日交換するため農薬を含む廃液は5日間にわたり生じる。光触媒を利用する処理作業は各廃液を野外の水槽に投入する作業と処理後の廃液を廃棄するのみである。(表1)。
2. 光触媒利用による廃液の処理法は、水槽(縦150cm×横150cm×深さ5cm)内に置いた酸化チタン担持セラミック製多孔質の板(S社製)を並べ、処理原液で浸し、光を当てることで農薬を分解する方式である。太陽光を利用するため処理水槽は屋外に置き、雨水の混入防止のため、紫外線透過率の高い資材で覆う。この装置で1回に処理できる廃液量は40L(ほぼ水田1000m2に播種する種子を消毒し、催芽したときに生じる廃液量)である。(図1)
3. 処理原液40Lは電源のあるところでは日中水槽内を循環させ、処理効率を高める。電源のないところでは、処理原液40Lを水槽内に静置する。
4. 全有機体炭素量は、光触媒有/循環、光触媒有/静置で、光触媒無/循環、光触媒有/静置の順で低下する。処理後8日目に、イプコナゾールは、光触媒有/循環で検出限界以下、光触媒有/静置で0.0mg/L、光触媒無/循環では0.8mg/L、光触媒有/静置2.5mg/Lとなる。フェニトロチオンは光触媒の有無に関わらず分解される。(表2図2表3


[成果の活用面・留意点]

1. 実用化に向けて酸化チタン担持体は開発中である。
2. 本処理法は個別で育苗する農家用の処理法であり、共同育苗施設には適さない。


[具体的データ]



 

 


[その他]

研究課題名:酸化チタン光触媒による水稲種子消毒農薬残液処理方法の検討
予算区分:県単・受託
研究期間:2002年4月〜2003年9月(県単)、2003年9月〜2006年度(受託)
研究者担当:深山陽子、久保深雪、草野一敬、北川高弘、曽我綾香、藤原俊六郎、土屋恭一、砂田香矢乃(KAST)、橋本和仁(東大先端研)
発表論文等:特許出願 2001-400027、2002-183284、2002-379967


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