胚生産性の高い黒毛和種の連続過剰排卵誘起処理


[要約]
分娩50日後の過剰排卵誘起処理(SOV)において、10個以上の胚を生産した供胚牛について35日間隔のSOVを連続3回実施すると、回収卵数は2回次のみ有意に低下するが、胚の生産性に関する項目では回次間における違いは認められない。

[キーワード]肉用牛、黒毛和種、過剰排卵処理、胚生産

[担当]群馬畜試・生物工学グループ
[連絡先]電話 027-288-2222
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 育種的に優秀な黒毛和種牛の増産技術は、繁殖基盤構築に不可欠である。当該牛が過剰排卵処理(SOV)への反応に優れている場合は、供胚牛としての集中利用が考えられる。そこで、分娩後早期のSOVで高い胚生産性を示した供胚牛について、等間隔の休止期間を設けた連続SOVを実施して胚生産性の推移を調査する。

[成果の内容・特徴]
1. 供試牛には夏季放牧飼養、冬季ルーズバーン飼養の黒毛和種経産牛13頭を用いた。これらは、分娩後約50日の初回SOVにおいて10個以上の胚を生産した牛である。
2. SOVの間隔(SOV開始日の間隔)は35日間とし、初回以降等間隔で13頭へは2回、6頭へは3回の連続SOVを実施した。
3. SOVは総量13AUのFSHを4日間朝夕漸減的に投与する低単位投与法により行った。なお、分娩後50日にSOVを実施するため、供胚牛にはCIDRの2回留置およびポピドンヨード剤の頸管・子宮内注入等をプログラムに従い実施した。(図1
4. 採卵はSOVによる発情後(発情日=0日)7日目に両子宮角をそれぞれ500mlの培養液で洗浄灌流させる方法で行った。
5. 胚の品質は、100倍の倒立顕微鏡下で可視域の細胞変性率が0%のものをA、10%以内のものをBとした。
6. 初回から4回次までの胚生産性に有意な差は認められず、平均正常胚数およびABランク数はそれぞれ9.3〜13.2個、8.9〜12.4個の範囲で推移した。(表1

[成果の活用面・留意点]
1. 分娩後の連続過剰排卵処理を検討するための参考データとなる。
2. FSH低単位投与法での成果であり、特に20AU以上を投与する方法では再検討が必要である。
3. 分娩後の各処置を実施する必要性がある。


[具体的データ]



[その他]
研究課題名:優良雌牛の生産率向上技術に関する研究
      牛の繁殖技術及び受胎性向上のための周辺技術の開発
予 算 区 分 :県単
研究期間 :2001〜2003年度
研究担当者:砂川政広

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