丸粒トウモロコシ及びモミ殻を利用した黒毛和種去勢牛肥育では、肥育前期の高デンプン飼料給与が産肉成績を高める


[要約]
丸粒トウモロコシおよびモミ殻給与時の肥育前期における高デンプン給与は増体量および枝肉重量を高めるが、肥育後期におけるデンプン水準は産肉性に影響を及ぼさない。また、稲ワラの一部代替として未処理モミ殻の全肥育期間給与が可能である。

[キーワード]肉用牛、肥育、丸粒トウモロコシ、モミ殻、デンプン水準、TMR

[担当]千葉畜総研・生産技術部・肉牛研究室、茨城畜セ肉用研、栃木畜試、群馬畜試
[連絡先]電話 043-445-4511
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地部会(大家畜)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 4県協定研究により、濃厚飼料の穀類(デンプン)割合が比較的高い黒毛和種去勢牛肥育において、丸粒トウモロコシを30%まで配合することが可能であり、挽割りや圧ペントウモロコシと同等な産肉性が得られることを明らかにしている。また、稲ワラの代替粗飼料としてモミ殻を用いた肥育試験の結果、肥育前期にTMRを前提として稲ワラの80%まで代替可能であることを明らかにしている。そこで、丸粒トウモロコシ利用時のデンプン水準について検討を行うとともに、残されていたモミ殻の全期間での利用を検討するため、4県協定による黒毛和種去勢牛40頭を用いた肥育試験を実施する。

[成果の内容・特徴]

   穀類の配合割合により高デンプン区(以下、高穀区、濃厚中の穀類割合を前期60%、後期85%)、低デンプン区(以下、低穀区、濃厚中の穀類割合を前期40%、後期70%)の2試験区を設定した。期間は前・後期に分け、粗濃比は前期20:80、後期8:92とし、濃厚飼料には前期20%、後期30%の丸粒トウモロコシを配合し、粗飼料には未処理モミ殻を稲ワラとともに全期間給与した(表1)。
1. 前期の飼料摂取量は開始後4か月間、高穀区が高い傾向を示す。期間中の1日1頭当りの乾物摂取量は高穀区9.1kg、低穀区8.9kgであり差はない。また、増体成績は終了時体重および1日当り増体量(以下、DG)ともに高穀区が高い(P<0.01)。なお、後期では、飼料摂取量、増体成績、DGともに試験区間の差は認められない(表2)。
2. 前期の枝肉成績では、高穀区の枝肉重量(P<0.05)およびロース芯面積(P<0.01)が大きいが、後期では、枝肉重量、ロース芯面積、その他の項目でも試験区間に差は認められない(表3)。
3. 未処理モミ殻を全期間給与したが、消化器等に異常は認められない。
以上から、丸粒トウモロコシを利用した黒毛和種去勢牛肥育では、肥育前期には穀類を高めた高デンプン給与での利用が産肉性を高め、肥育後期には産肉性への影響は少ないことが明らかである。また、未処理モミ殻の全肥育期間での利用が可能であることも判明した。

[成果の活用面・留意点]

1. 丸粒トウモロコシとモミ殻を用いる場合には、肥育前期では濃厚飼料中60%程度まで穀類割合を多くし、デンプン水準を高める必要がある。
2. モミ殻の給与にあたっては馴致期間を十分にとり、TMR給与方式とする。

[具体的データ]




[その他]

研究課題名:黒毛和種去勢牛の肥育における澱粉水準の差が丸粒トウモロコシ・モミ殻の利用性に及ぼす影響
予算区分:県単
研究期間:2001〜2002年度
研究担当者:小林正和、山田真希夫、伊藤健(千葉畜総研)、小野圭司、矢口勝美(茨城畜セ肉用研)、櫻井由美、久利生正邦(栃木畜試)、浅田勉、小見邦雄(群馬畜試)


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