イネ穀実サイレージ給与による黒毛和種去勢牛の肥育


[要約]
飼料中の圧片大麦(濃厚飼料中に占めるTDN割合30%)の代替としてイネ穀実サイレージを給与しても肥育成績や肉質への影響はみられず、脂肪酸組成においても、風味に影響するとされる不飽和脂肪酸割合が高い傾向にあることから、黒毛和種去勢牛の肥育においての利用は可能である。

[キーワード]イネ穀実サイレージ、黒毛和種去勢牛、肥育、脂肪酸組成

[担当]富山畜試・酪農肉牛課
[連絡先]電話 076-469-5921
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(飼料イネ利用) 
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 近年、水田機能を維持しつつ自給飼料を増産する有効な手段としてだけではなく、国産の安全な飼料の供給という面で飼料イネの作付けが増加している。その利用形態として、穀実やホールクロップサイレージ等が想定され、肥育経営においては、肥育後期に給与する圧片大麦の代替としてイネ穀実サイレージの利用が考えられる。
そこで、肥育後期の黒毛和種去勢牛にイネ穀実サイレージを給与した肥育成績等からその効果について検討を行った。

[成果の内容・特徴]
 供試牛には概ね20か月齢の黒毛和種去勢牛10頭を用い、当場慣行法の濃厚飼料(TDN割合で、とうもろこし主体配合飼料:圧片大麦:ふすま=50:30:20)と粗飼料(稲ワラ2kg/日・頭)を給与する対照区と、圧片大麦の全量をイネ穀実サイレージ(どんとこい)で代替するイネ穀実区の2区を設定した。試験期間は出荷までの約5か月間とした。
1. 1頭当たりの飼料乾物摂取量およびTDN摂取量については、区間に有意差は認められず、圧片大麦給与時と同程度の採食量である(表1)。
2. 出荷体重については各区とも700kgを超えている。また、日増体量については、区間に有意差は認められない。1kg増体に要したTDN量については、イネ穀実区が有意(P<0.05)に高い(表2)。
3. 枝肉重量、ロース芯面積、バラの厚さ、皮下脂肪厚、BMSNo.については、区間に有意差は認められない。BFSNo.についても全頭3であり、給与飼料による枝肉形質の違いは認められない(表3)。
4. 脂肪酸組成については、区間に有意差は認められないが、イネ穀実区の筋肉内脂肪において、風味に影響するとされる一価不飽和脂肪酸含量が高い傾向にあり、牛肉の付加価値生産に活用できる可能性がある(表4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 黒毛和種去勢牛の肥育における飼料イネの活用方法の一つとして普及上の参考となる。
2. 「どんとこい」は、食用品種である。
3. 対照区と同等の肉質が得られるが、1kg増体に要したTDN量については、イネ穀 実区が有意(P<0.05)に高いため、給与の際にはこの点に留意する必要がある。


[具体的データ]





[その他]
研究課題名:飼料イネの家畜への給与技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2002〜2003年度
研究担当者:高平寧子、高橋正樹、粕谷健一郎、四ツ島賢二、清水雅代、佐野正記

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