無投薬飼育の奥美濃古地鶏への酒精酢飲水投与による育成成績向上技術


[要約]
岐阜県の地鶏「奥美濃古地鶏」の無投薬飼育において、酒精酢(食酢)を酢酸濃度0.075%で飲水投与し、飲水器中の有害細菌の増殖を抑制することにより、発育成績を向上できる。

[キーワード]家禽、肉用鶏、無投薬飼育、奥美濃古地鶏、酒精酢、細菌増殖抑制

[担当]岐阜畜研・養鶏研究部
[連絡先]電話 0575-22-3165
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 近年、消費者の安全・安心志向や耐性菌の出現等から抗菌性物質無添加飼料給与による鶏肉生産が求められるようになっている。ブロイラーの1.5倍以上の飼育期間を要する奥美濃古地鶏では、無投薬飼育における疾病防除技術は不可欠なため、酒精酢(食酢)を常時飲水投与し、飲水器中の有害細菌の増殖抑制により発育成績の向上を図る。

[成果の内容・特徴]
1. 奥美濃古地鶏を対象として3週齢から12週齢までの期間、酒精酢を酢酸濃度0.15%(以下0.15%区)、0.075%(以下0.075%区)及び無添加(以下対象区)で常時飲水投与した場合の12週齢での発育成績を比較すると、雄雌の平均体重は酢酸濃度0.075%区がもっとも大きく、次に対照区、0.15%区の順になる(表1)。また、0.075%区は飼料消費量は多いものの飼料要求率が低く良好である。死亡鶏が発生した対照区や0.15%区に比べて0.075%区では1羽も死亡せず育成率は100%であること等を勘案すると発育成績は0.075%区が良好と判断される。
2. 飲水器における1ml 中の大腸菌群数の推移は図1のとおりで、酒精酢を飲水投与し始めた3週齢以降、対照区がもっとも多く、次に0.075%区、0.15%区がもっとも少ない。また同様に、黄色ブドウ球菌数も酢酸濃度が高くなるほど細菌数は減少するが、大腸菌群に比べると、対照区と0.075%区との差は顕著ではない(図2)。
3. 1羽当たりの酒精酢のコストは0.15%区で19円、0.075%区で9円であり、発育成績と飲水器中の衛生状態を考え合わせると、奥美濃古地鶏では酢酸濃度0.075%の飲水投与が有効と判断される。

[成果の活用面・留意点]
1. 地鶏はブロイラーに比べて日常の動きが非常に活発で飲水器に糞等が混入しやすい特徴があり、低濃度の酒精酢投与でも大腸菌群に対して強い増殖抑制効果が認められる点で、他の地鶏に対しても投与効果が期待できる。
2. 3週齢以前は、0.075%では発育低下の可能性があるため、3週齢以降の投与のみとする。また、3週齢以前の適正酢酸濃度については今後検討が必要である。


[具体的データ]




[その他]
研究課題名:無投薬飼育管理による地域特産鶏肉生産技術の確立
予算区分:国補(先端技術等地域実用化研究促進事業)
研究期間:2002〜2003年度
研究担当者:立川昌子、石川寿美代、小川正幸

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