ガラス化融解後に培養した豚胚の形態的品質と受胎性


[要約]
ガラス化融解した豚胚を融解3時間後に高品質胚と低品質胚に選別し、受胚豚へ外科的に移植すると高品質胚を移植された5頭はすべて受胎し、低品質胚は全く受胎しない。

[キーワード]豚、胚、ガラス化融解

[担当]神奈川畜研・畜産工学部・繁殖工学グループ
[連絡先]電話 046-238-4056
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]科学・普及

[背景・ねらい]
 豚胚をガラス化融解後3時間培養すれば、大部分の融解胚を顕微鏡下で形態的に高品質か低品質かに分類できることを明らかにしてきた。そこで、ガラス化融解胚を3時間培養してから高品質胚と低品質胚に選別し、それぞれを受胚豚に移植して受胎率を比較検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 胚の品質判定基準(図1)にしたがってガラス化融解後の胚の品質を分類する場合、融解直後では胚が収縮しており形態的な品質判定が困難な胚(中品質胚)の割合が多い。一方、3時間培養後の観察では胚を高品質胚と低品質胚にすべて明確に分類することができる(表1)。
2. ガラス化融解して3時間培養後に選別された高品質胚を26〜30個ずつ受胚豚へ移植すると受胎率100%となり、一方、低品質胚は23〜43個ずつ受胚豚へ移植しても受胎しない(表2)。
3. 以上より、ガラス化融解後すぐに移植しない場合でも3時間程度の培養後に高品質な胚選別すれば高い受胎能が確保される。また、受胎が確実な胚の分類が容易になる利点がある。

[成果の活用面・留意点]
1. 本成果は、ガラス化融解した胚を高率に発生させ得る点で、系統豚の長期利用を図る際に有効活用できる。なお、当所では系統豚維持群の個体を更新する前に、随時胚を採取してガラス化保存している。
2. 本方法では3時間の融解後に培養するため移植までに時間を要する。
3. 低品質胚は受胎能が低いので、ガラス化融解方法の改善によって低品質胚の割合を減らす必要がある。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:豚胚の凍結及び移植に関する試験
予算区分:国補
研究期間:1998〜2002年度
研究担当者:仲澤慶紀、橋村慎二、坂上信忠、亀井勝浩、小嶋信雄、前田高弘、岸井誠男
発表論文等:仲澤ら(2003)平成14年度試験研究成績書(繁殖工学・養豚):1-3

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