金華豚とデュロック種交雑大規模家系による肉質・産肉性に関するQTL解析


[要約]
静岡県家系F2世代204個体の解析で、ヘマチン含量、肉色a*値(SSC6)、飽和脂肪酸(SSC9)等に有意なQTLが検出される。シェアバリューに関しては、3県合同大規模家系の解析で有意なQTL(SSC2)が検出され、このQTLでは金華豚のアリルで肉の柔らかさを増加させる。

[キーワード]ブタ、DNA、QTL、肉質、シェアバリュー

[担当]静岡中小試・養豚研究スタッフ
[連絡先]電話 0537-35-2291
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 これまでに、金華豚と大ヨークシャー種との交雑家系で豚肉品質に関わるQTL候補が報告されている。本研究では、より信頼度の高い解析のために、金華豚とデュロック種による大規模な交雑家系を構築し、豚肉品質に関与するQTLの検出を試みる。さらに肉質形質のQTLを対象としたマーカーアシスト導入(MAI)法によりマーカーの有効性を検証する。

[成果の内容・特徴]
1. 金華豚雌5頭とデュロック種雄1頭の交配からF1世代を作出した。そして、静岡県、千葉県、神奈川県にそれぞれF1雄2頭、F1雌7頭を配置し、これらの交配で得られるF2世代から成る3県合同の大規模家系を構築した。F2調査豚は群飼育し、各々の体重が70kgに達した時に屠殺解体して形質値を測定した。
2. QTL解析のために同家系内で多型が確認された134個のマイクロサテライトマーカーを選定し、F2個体554頭(静岡県:204頭、千葉県:198頭、神奈川県:152頭)をタイピングし、連鎖地図を作製した。
3. 産肉形質のうち一日平均増体重およびハム重量に関しては第1染色体、ロース断面積については第4染色体にQTLを検出した(表1)。
4. 椎骨数では第1、第7染色体にQTLが検出され、それに伴うと体の長さおよびロースの長さに関して第1、第4および第7染色体にQTLを検出した(表1)。
5. と殺後のpH、クッキングロスに関しては第3染色体にQTLを検出し、ヘマチン含量および肉の赤み(a*)については第6染色体にQTLを検出した(表1)。
6. 脂肪組織の脂肪酸組成に関するQTLは数多く検出され、肉の食味と関連する皮下内層脂肪では、飽和脂肪酸合計(第7、第9染色体)、オレイン酸(第9,10染色体)のQTLを検出し、脂肪蓄積量と関連のあるリノール酸については皮下脂肪、腎周囲脂肪において第2染色体にQTLを検出した(表1)。
7. と殺48時間後における筋肉中の遊離アミノ酸含量ではタウリン(第13染色体)、アスパラギン(第2染色体)、シスチン(第1染色体)、アルギニン(第7染色体)に関するQTLを検出した(表1)。
8. シェアバリューに関しては、3県合同の大規模家系にもとづく解析で有意なQTL(第2染色体)が検出された。このQTLでは金華豚のアリルで肉の柔らかさを増加させる効果が認められた(図1)。

[成果の活用面・留意点]
  第2染色体に見いだされたQTL領域をデュロック種に導入するため、戻し交雑を行い戻し交雑第2世代を生産中である。


[具体的データ]



[その他]
研究課題名:金華豚とデュロック種交雑大規模家系の解析による肉質・産肉性に関するDNAマーカーの作出、C)肉質等に関するDNAマーカーの作出とマーカー利用導入による評価
予算区分:国委託
研究期間:2002〜2006年度
研究担当者:堀内篤、井手華子、知久幹夫(静岡中小試)、金谷奈保恵、内田陽子(STAFF研)、山口倫子(千葉畜総研)、仲沢慶紀(神奈川畜研)、林武司、粟田崇(生物研)
発表論文等:堀内ら(2003)第80回日本養豚学会大会講演要旨、p31

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