小型反射式光度計と樹体指標を使ったブドウ「巨峰」の果実品質の推定


[要約]
小型反射式光度計によるブドウ「巨峰」の葉柄汁液中の硝酸イオン濃度は、施肥量に影響され、新梢長、または新梢着生率とを組合わせると樹体の栄養状態を反映し、果実品質を改善するための指標となる。

[キーワード]ブドウ、小型反射式光度計、葉柄、硝酸イオン、果実品質

[担当]三重科技セ・農業研究部・伊賀農業研究室
[連絡先]電話 0595-37-0211
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 有核栽培「巨峰」は、品種の特性として樹勢調整が難しく、結実が不安定である。そのため、栽培者は結実確保優先のために弱めの樹勢管理に陥りがちで、果実品質を低下させる要因となっている。一方、これまでのブドウの樹体栄養診断技術は、診断の精度が低かったり分析に手間がかかる等の問題があり、新しい診断法の開発が望まれている。
そこで、小型反射式光度計(RQフレックス)を用い、葉柄汁液中の硝酸イオン濃度(以下「硝酸イオン濃度」とする。)による、樹体内養分や生育の簡易な評価技術を開発し、高品質果実を生産する樹体づくりの指標を得る。

[成果の内容・特徴]
1. 「巨峰」の硝酸イオン濃度は、施肥量によって大きく影響を受けるが、結実の程度および収穫時の果実品質(果粒重、糖度、酸)などとの相関はいずれも低い(データ表示せず)。しかしながら、硝酸イオン濃度と結実期における結果母枝先端第1、第2芽の長い方の新梢長(以下「先端新梢長」とする。)、または新梢着生率とを組み合わせると、果実品質との関係がみられる(表1図1)。
2. 開花前の硝酸イオン濃度が低く先端新梢長が長いと果粒肥大が良好で、硝酸イオン濃度が低く新梢着生率が高いと糖度が高い。このとき、他の果実品質が低くなる傾向がみられないことから、樹体栄養状態が良好な状態であると判断できる(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 果実品質と樹体の生育状況を示す指標として用いることができる。
2. 硝酸イオン濃度の測定は、同一樹体内において新梢間、あるいは同一新梢内においてもばらつきがみられることを考慮し、樹体全体から長さ45cm程度の新梢7本程度を午前中に採取し、第一果房のある葉位とその前後の葉位の3葉柄を搾汁した。
3. 調査した現地ほ場には黒ボク土などの肥沃な土壌条件は含まれてないため、肥沃な土壌条件下についてはさらに検討をする必要がある。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:果樹の樹体栄養測定法の確立とそれに基づく高品質、安定多収技術
予算区分:新技術
研究期間:2000〜2003年度
研究担当者:西川豊、近藤宏哉、北村八祥、伊藤寿、輪田健二

目次へ戻る