カキ「朱鷺乙女」の果実成熟特性と収穫方法


[要約]
カキ「朱鷺乙女」は、果実の成熟進行と果皮色との間に強い相関関係があり、収穫は、糖度と日持ち日数の目標に応じた果頂部とていあ部の果皮色を基準として行うことにより、高品質果実の計画出荷が期待できる。

[キーワード]カキ、朱鷺乙女、収穫、糖度、日持ち日数、果皮色

[担当]新潟農総研・園芸研究センター・栽培施設科、育種科
[連絡先]電話 0254-27-5555
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 新潟県農業総合研究所・園芸研究センターで育成・品種登録された「朱鷺乙女」(さぎおとめ)は、品質の優れた早生品種であり、新潟県では優良品種に位置付け普及を図っている。しかし、新品種であるため果実の成熟進行等については不明な点が多い。そこで、果実の成熟特性を解明し、高品質果実出荷のための収穫技術を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 果実成熟特性
・果実重量、果皮の着色及び糖度は、9月下旬以降果実の成熟が進むにつれて増大し、脱渋後の日持ち日数は短くなる(表1)。
・糖度や日持ち日数は、果皮色と強い相関関係があるので、果皮色(カキ(平核無)果実カラーチャート測定値)から糖度と脱渋後の日持ち日数を推定できる(図1)。
2. 目標果実品質に応じた収穫方法
・糖度と日持ち日数の目標を設定し、目標に対応した果頂部とていあ部の果皮色を収穫の目安(表2)とすることにより、品質の斉一化が図られる。
・糖度の目標設定により、時期別果実収穫割合や収穫のピークも異なる(図2)ので、収穫の目安とする果皮色の基準選択は、出荷、販売、選果場運営の計画にあわせて使い分ける。

[成果の活用面・留意点]
1. 成熟時の果皮色調変化が「平核無」とはやや異なるため、カキ(平核無)果実カラーチャートでは合わせにくい色(カラーチャート値4.0前後)がある。
2. 脱渋は炭酸ガス脱渋(CTSD:恒温短期処理)、脱渋後の果実日持ち調査は室温下(平均気温17.5℃、最高気温20℃、最低気温10℃)で行った。脱渋処理条件によって日持ち日数が変わる可能性がある。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:カキ新品種「朱鷺乙女」の栽培安定化技術開発と加工特性の把握
予算区分:県単
研究期間:2000〜2002年度
研究担当者:本永尚彦、松本辰也、山澤康秀、藤巻伸一
1)品種登録、第11372号、2003年8月19日

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