トルコギキョウの点滴灌水施肥栽培における養水分管理プログラム


[要約]
トルコギキョウの灌水施肥栽培に適切な養水分管理プログラムを、植物体の養分吸収及び蒸発散量に基づいて作成した。

[キーワード]トルコギキョウ、点滴灌水施肥栽培、養液土耕、プログラム

[担当]長野野菜花き試・花き部
[連絡先]電話 026-278-6848
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 トルコギキョウ栽培では、一般に基肥施用を主体とした施肥が行われ、生育初期から多量の灌水が行われるために、肥料成分が植物に吸収されることなく流亡していることが懸念される。また、生育初期からの灌水管理は、生育、品質に大きく影響するため、非常に気を遣う作業になっている。近年導入が進んでいる植物の生育に沿った施肥が行える点滴灌水施肥栽培(養液土耕栽培)は養分吸収の安定化と作業の省力化を図ることが可能であるので、トルコギキョウにおける灌水施肥栽培技術の確立を図るために、生育ステージ毎の養分吸収や消費水量の把握に基づいた養水分管理プログラムの作成を目指した。

[成果の内容・特徴]
1. 地上部の窒素含有量は、生体(乾物)重に比例して増加し、定植約50日後までは品種差が小さい。それ以降は、開花が遅く生育量が多い晩生種ほど多くなる。また、施肥量に対する成分吸収量の変動は小さい(表1)。
2. 養分含有量は、m2当たり(ベッド面積・44株)、早生〜中生種(採花時生体重70〜80g)が窒素9〜12g、リン酸2g、カリ11〜16gであり、晩生種(採花時生体重80〜100g)が窒素12〜20g、リン酸2〜3g、カリ16〜31gある(表略)。
3. 晴天日の土面蒸発量を加えたm2あたりの蒸発散量は、生育初期2.5〜4.0リットル、生育中期6.0〜9.0リットル、出蕾期以降7.0〜8.5リットルであり、生育中期以降はほとんど増加しない。(表2)。なお、曇雨天日の蒸発散量は、晴天日の30〜50%である(表略)。
4. 生育ステージ別の養分含有量を基にした施肥量と、曇雨天日の蒸発散量減を加味して、生育前期が2.0〜4.0、生育中期以降を4.0リットル/m2/日の平均蒸発散量とする養水分管理プログラムを作成した(表3)。
5. 作成した養水分管理プログラムにより、良質な切り花が得られる(表4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 細粒灰色低地土における3下旬〜4月上旬定植・7〜8月切り作型で検討した。
2. 定植後2〜3週間は散水等を併用し、均一な活着を図る。
3. 栽培前後には土壌診断を実施し、特に散水処理を併用する定植後2〜3週間は、肥料成分が不足する可能性があるので留意する。
4. 灌水量は、ほ場の条件(土壌水分動態、耕盤 形成の有無等)、天候変化に基づいて微調整する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:持続的切り花栽培のための養水分管理技術の開発
予算区分 :国庫助成(新技術)
研究期間 :2001年〜2003年
研究担当者:宮本賢二、山田和義、荒井好郎

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