イチゴ高設ベンチ栽培「岐阜県方式」の培養液閉鎖系システム


[要約]
掛け流しによるイチゴ高設ベンチ栽培「岐阜県方式」は、除菌装置、リサイクル液処理槽及び循環原水タンクを新たに装備し、専用の時期別肥料とEC管理により、培養液閉鎖系システムとなり、環境に優しい養液栽培が可能である。このシステムと従来の掛け流し栽培との生育及び収量は同等である。

[キーワード]イチゴ、高設ベンチ栽培、培養液、循環栽培、環境負荷低減

[担当]岐阜農技研・栽培部
[連絡先]電話 058-239-3133
[区分]関東東海北陸農業
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 作業性の向上を目的として開発した、掛け流し栽培によるイチゴ高設ベンチ栽培「岐阜県方式」(以下、(掛け流し)という)は、環境負荷低減のため、給液制御装置を導入している。さらに環境負荷低減を図るため、培養液を循環させて閉鎖系システム(以下、(閉鎖系)という)を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. (掛け流し)を(閉鎖系)とするため、新たに除菌装置、リサイクル液処理槽及び循環原水タンクを付加する(図1)。
2. 除菌装置は、培養液循環による水媒性の疫病等の伝染を防止するとともに(データ省略)、培養液中のゴミを除去するものである。処理槽と循環原水タンクの間に処理槽に近い順で25μm、5μmと1μmのフィルターを新たに設置する。
3. リサイクル液処理槽として、除菌装置前段(栽培槽側)に栽培槽に近い順で、クレソンと活性炭の処理槽を設置する。その結果、リサイクル液中の窒素はクレソンで、Fe、Mn、Cu及びZnは活性炭で濃度が低下し(データ省略)、培養液組成のバランスが取り易い。また、ヤシ殻から溶出するリグニン等の有機物も除去できる(データ省略)。
(閉鎖系)10a当たりに必要なクレソン処理槽は深さ30cmで表面積8m2、活性炭処理槽は深さ30cmで4m2であり、球状活性炭(T社製)を120kg投入し曝気する。
4. (閉鎖系)のリサイクル液処理槽ではP、K、Ca及びMgは除去しきれないため、表1に示す時期別肥料組成を使用して生育期間中の肥料バランスを維持する。
5. (閉鎖系)と(掛け流し)とで、培養液のpHの推移には差は認められない(図2)のと同様に肥料の各成分も(閉鎖系)と(掛け流し)の培養液で同じ推移をさせることができる(データ省略)。
6. ヤシ殻(K社製)を培地に使用した場合の(閉鎖系)でのEC濃度設定は、第1次腋花房が分化する10月上中旬まで0.4〜0.5dS/m、その後10月下旬までに0.9〜1.0dS/mまで濃度を徐々に上げ、2月末までは0.9〜1.0dS/m、3月以降は0.7dS/mまで徐々に濃度を下げる。ヤシ殻培地からNaが溶出するため(閉鎖系)では(掛け流し)より0.1〜0.2dS/m程度高めに設定する。
7. (閉鎖系)と(掛け流し)では、生育・収量は同等である(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. リサイクル液処理槽は、イチゴハウスとは別の小型無加温ハウスに地掘りして設置し、ビニルを敷いて漏水を防止する。最高気温は、25℃を目安に管理する。
2. 岐阜県方式(掛け流し)から岐阜県方式(閉鎖系)への改造資材費として、約20万円が必要である。その他、消耗品として定植9月から収穫終了の5月末までの1作当たりで活性炭とフィルター代約10万円が必要である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:イチゴの環境に優しい養液栽培技術の確立
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2003年度
研究担当者:越川兼行、安田雅晴、長谷部健一
発表論文等:越川、安田(2003)園学雑72別2:394
安田、越川(2003)園学雑72別2:159

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