イチゴ「サンチーゴ」の花芽分化促進と空洞果対策


[要約]
イチゴ「サンチーゴ」においては、窒素中断が早いほど頂果房の花芽分化が早くなり、7月中旬から窒素中断を行うと収穫期も早まる。また、空洞果は頂果房に多く発生しするが、施肥量が少なくなると発生率が低くなるため、基肥は10kg/10a程度とし、ハウス内温度は開花期以降の1ヶ月間は高温で管理する。

[キーワード]イチゴ、花芽分化促進、窒素中断、空洞果、基肥、高温管理

[担当]三重科技セ・農業研究部・園芸グループ
[連絡先]電話 0598-42-6358
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 三重県で育成したイチゴ「サンチーゴ」は、慣行品種よりも花芽分化がやや遅れ、収穫開始期が遅い。また、頂果房においては収穫初期の果実にガク中央部の亀裂や果実内部が褐変する空洞果が発生し、品質の低下をまねいている。そこで、ポット促成栽培における花芽分化促進技術と頂果房の空洞果の発生を抑制する栽培方法を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 「サンチーゴ」において、頂果房の花芽分化は窒素中断が早いほど早くなり、7月中旬から窒素中断を行うと9月上旬には花芽が分化する(表1)。
2. 「サンチーゴ」の果房毎の収穫開始日は、窒素中断時期が早いほど早くなり、頂果房は7月中旬から窒素中断すると11月下旬から、8月上旬から窒素中断すると12月下旬から収穫でき、窒素中断開始を3週間早くすることで収穫開始期を約1ヶ月早くすることができる(表2)。また第1次腋果房の収穫開始期も同様の傾向を示すが、第2次腋果房以降は差は小さくなる。可販果の総収量は、7月下旬から窒素中断した方が多くなり、特に頂果房の収穫が多くなる(図1)。
3. 「サンチーゴ」の頂果房における空洞果の発生は、基肥の窒素量が多いとガクの亀裂が発生し、空洞果の発生率も高くなる。しかし、施肥量を少なくするとガクの亀裂は見られず、空洞果の発生率も低くなるため、基肥は10kg/10a程度とする(表3)。脇果房においては施肥量を10kg/10aにすると、ガクの亀裂及び空洞果の発生が見られない(データ省略)。
4. ハウス内温度が高いほど空洞果の発生程度指数の高い果実の割合が少なくなり、全体の発生率も低くなるため、頂果房の開花期以降の1ヶ月間は日中のハウス内最高温度を約31度に管理する(表3)。ハウス内温度が高いと糖度が低下するが、頂果房の糖度は11度以上あるので、実用上問題はない。

[成果の活用面・留意点]
1. 「サンチーゴ」は親株からのランナーの発生が遅いので、親株は10月上旬に植える。
2. 「サンチーゴ」の育苗においては、7月中旬から窒素中断を行うためには5月下旬からランナーのポット受けを開始し、6月中旬にはランナーを切断する。
3. 「サンチーゴ」は吸肥力が高いため、本圃での施肥管理は「女峰」に比べ基肥、追肥とも20%程度減肥する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:イチゴ新品種「サンチーゴ」の高品質・早期安定生産技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2002年度
研究担当者:田中一久・小西信幸・礒崎真英・本庄達之助

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