遠赤色光カットフィルムを用いた葉ネギの葉鞘基部肥大抑制効果


[要約]
4月まき葉ネギを、遠赤色光カットフィルムを用いてトンネル栽培することにより、葉鞘基部の肥大が抑制され、高品質化する。

[キーワード]ネギ、遠赤色光カットフィルム

[担当]神奈川県農業総合研究所・生物資源部、生産技術部
[連絡先]電話 0463-58-0333
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 葉ネギのトンネル栽培においては、品種により葉鞘基部が肥大し、品質低下をもたらす。野菜茶業研究所では、ワケギ栽培において遠赤色光カットフィルムで被覆することにより、鱗茎形成が抑制され、高品質化することを報告している。そこで、同じフィルムを葉ネギのトンネル栽培に使用したときの葉鞘部基部抑制効果を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 葉鞘基部が肥大しやすい品種‘さとの香’及び‘わかさま黒’では、遠赤色光カットフィルムによる葉鞘基部肥大が効果的に抑制される(図1表1)。
2. 調製重、葉数、及び葉色については、被覆フィルムによる差は生じない(表1)。
3. トンネル内気温及び地温は、遠赤色光カットフィルムではPO(ポリオレフィン)フィルムに比べ温度上昇が抑えられる(表2)。
4. 遠赤色光カットフィルムを4月上旬から8月上旬までの4ヶ月露地で曝露しても、フィルムの波長別光透過率に変化はなく、劣化も少ない(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 遠赤色光フィルムはPOフィルムより高価である。
2. トンネルのすそを開けた場合、通路側に位置する植物体では葉鞘基部抑制効果がやや劣る。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:国際化に対応した国産野菜等の持続的生産技術の開発
予算区分:ブランド・ニッポン6系
研究期間:2002〜2005年度
研究担当者:深山陽子・衣巻 巧・高柳りか・河田隆弘・北 宜裕

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