夏播きダイコンの1粒播種栽培における斉一性確保のための栽植密度


[要約]
夏播きダイコンの1粒播種栽培において、ダイコンの生育が揃う栽植密度は品種によって異なる。葉部がコンパクトで根部の肥大が良好な品種は1000株/aの密植で高い斉一性と収量性を確保できるが、葉部の生育が旺盛で徒長しやすい品種は密植における斉一性が劣り、666株/a程度の密度が適する。

[キーワード]ダイコン、1粒播種、斉一性、栽植密度、品種

[担当]石川農研・砂丘地農試・砂丘野菜科
[連絡先]電話 076-283-0073
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 ダイコンの機械化栽培体系を前提とした1粒播種栽培は、間引き作業が不要となり省力化を図る上で効果的であるが、収穫機による一斉収穫を行うには生育斉一化技術の確立が必要である。そこで、斉一化を促進させる栽植密度について品種のタイプ別に明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 密植ほど隣接株との接触期間が長くなり、葉部の生育が旺盛な‘耐病総太り’では密植により播種後20日から40日に葉長が大きくなり徒長する。一方、葉部がコンパクトな「夏つかさ」では密植による葉部への影響は‘耐病総太り’より小さい(表1)。
2. 品種にかかわらず栽植密度が高いほど根重は明らかに小さくなる。ダイコンの斉一性(根重の変動係数)は、‘夏つかさ’では変動係数に有意な差は認められないが、‘耐病総太り’では栽植密度が高いと変動係数も大きい傾向にある(図1図2)。
3. 一斉収穫に適した収穫物の条件を根重の変動係数20%以下で平均根重1000〜1500gの範囲とすると、‘夏つかさ’では1000株/a(株間20cm)の密植で播種69日後に、高い斉一性と収量性で条件を満し、‘耐病総太り’では500株/a(株間40cm)の粗植で斉一性は高いものの収量は劣り、666株/a(株間30cm)の播種後69日収穫が適する(図1図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 夏播きダイコンの生育斉一化技術として活用できる。
2. 砂丘未熟土における8月中旬播種の夏播きダイコンで、うね幅100cm・2条播き・条間35cmのテープシーダーによる1粒播種で検討した結果である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:一粒播種におけるダイコンの生育斉一化技術の開発
予算区分:ブランド・ニッポン野菜系
研究期間:2002〜2005年度
研究担当者:橋本尚、清水恵美、西村康平、松本淳

目次へ戻る