長野県在来地大根品種の機能性成分と抗酸化活性


[要約]
長野県在来の地大根品種の多くは、一般のダイコン品種に比べて、ポリフェノール、アスコルビン酸等の機能性成分含量が多く、抗酸化活性が高い傾向がある。

[キーワード]地方在来野菜、地大根品種、機能性成分、抗酸化活性

[担当]長野野菜花き試・佐久支場、長野中信農試・畑作栽培部
[連絡先]電話 0267-25-3080
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 長野県には、野菜の地方在来品種が数多く残され、地域の活性化のためにそれらの保存・振興が取り組まれている。本研究は地方在来品種を機能性の面から評価することを目的とし、本県在来の地大根品種について、機能性に大きく関わる抗酸化活性と関連成分について調査する。

[成果の内容・特徴]
1. 地大根品種は一般の(宮重系青首ダイコン)品種である‘耐病総太り’よりも、辛味成分のイソチオシアネート含量が多い(表1)。
2. アスコルビン酸及びポリフェノール含量(没食子酸相当量)はいずれも地大根品種が‘耐病総太り’よりも多い(図1)。
3. SDS-AAPH系(脂質の酸化反応で生じる共役ジエンの形成を阻害する能力を評価する方法)、及びDPPHラジカル系(ラジカルを消去する能力を評価する方法)で 抗酸化活性を評価した結果は、年次や栽培地域によって値が変動する場合もあるが、全般に地大根品種が‘耐病総太り’よりも高い傾向がみられる(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 地方在来品種の付加価値を機能性の面から高めることが可能である。
2. 年次や栽培地域、作型等によって、品種特性が変化することがある。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:野菜の生産安定試験
      東信地域に適する野菜の栽培技術及び軟弱野菜作付け体系の改善
予算区分:県単
研究期間:2002〜2003年度
研究担当者:岡本潔、中山利明、出澤文武、茂原泉、高橋正輝
発表論文等:岡本ら(2003)園学雑 72(別2):485

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