強酸性電解水の葉菜類病原菌に対する静菌効果


[要約]
強酸性電解水は葉菜類の病原糸状菌4種類への菌糸伸張阻止効果は認められないが、ハ
クサイ、レタス等の軟腐病の菌密度が低下する。しかし、その効果は長くは続かず、十数時間後
には消失する。

[キーワード]葉菜類、強酸性電解水、軟腐病

[担当]福井園試・野菜研究グループ
[連絡先]電話 0770-32-0009
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
ハクサイ、レタス等の葉菜類を対象とした減農薬化を図る試みとして、数種類の病害を対象にその病原菌に及ぼす静菌効果を検証する。

[成果の内容・特徴]
1. Alternaria sp.Rhizoctonia sp.Botrytis sp.Pythium sp.の4種類の糸状菌に対する強酸性電解水の菌糸伸長阻止率はいずれも0〜3%程度であり、菌糸伸長への影響は認められない(表1)。
2. 軟腐病細菌を供試し、強酸性電解水と軟腐病細菌の高濃度懸濁液(7.4_109cfu/ml)を同量ずつ混合し生菌数の減衰変化から除菌効果をみた結果、強酸性電解水原水の場合、混合後約20秒以内で生菌が検出されなくなる。強酸性電解水の4倍希釈水でも20秒以内で1万分の1に、3分以内では10万分の1にまで生菌数は減衰する(図1)。
3. レタス、ハクサイの葉中肋部位の表層を剥離させ軟腐病菌を噴霧接種した後、強酸性電解水
を散布したところ、対照区(水道水)に比べて発病が軽減される(表2)。
4. 0.1M酢酸水溶液(pH2.7)を比検液として円筒平板検定法により軟腐病に対する除菌力を比較すると、強酸性電解水は16時間後に阻止円を認めるが、0.1M酢酸水溶液の静菌効果に比べて劣っており、その後は速やかに活性が消失する(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 強酸性電解水は軟腐病菌に静菌作用を有する。ただし、静菌効果の持続時間は短いので常に新鮮な電解水を供給する。
2. 強酸性電解水は農業用強電解水生成装置から取水した(補助剤:8%塩化カリウム水溶液、pH2.6〜2.7.有効塩素濃度約20ppm)。供試菌株はホウレンソウ立枯病菌を除き域内の罹病作物から単菌糸および単コロニー分離により採取を行った。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:野菜栽培における環境負荷軽減技術の研究
予算区分:国補(地域科学技術振興研究事業)
研究期間:2001〜2002年度
研究担当者:杉本義則、辻岡隆雄

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