クワシロカイガラムシの寄生蜂チビトビコバチに対する各種農薬の影響


[要約]
クワシロカイガラムシの天敵寄生蜂であるチビトビコバチ成虫に対する各種農薬の殺虫作用は、有機リン剤、合成ピレスロイド剤では強い。殺菌剤の大部分とIGR剤及びBT剤の影響は弱いが、殺ダニ剤とネオニコチノイド系剤ではその種類により大きく異なる。また、有機リン剤など数種の非選択性殺虫剤は、本寄生蜂の羽化を阻害する。

[キーワード]チャ、クワシロカイガラムシ、天敵、寄生蜂、チビトビコバチ、農薬

[担当]静岡茶試・病害虫研究室
[連絡先]電話 0548-27-2885
[区分]関東東海北陸農業・茶業、生産環境
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 茶園では、重要害虫であるクワシロカイガラムシに寄生したり捕食する天敵昆虫が生息することが明らかとなっている。しかし、茶園に散布される農薬がこれら天敵類にどのような影響を与えているかについては不明な点が多い。そこで、静岡県の茶園で優占天敵種となっているチビトビコバチに対する各種農薬の影響を室内試験で明らかにし、天敵保護のための基礎資料とする。

[成果の内容・特徴]
1. 有機リン剤および合成ピレスロイド剤のチビトビコバチ成虫に対する殺虫作用は極めて強い(表1)。また、チビトビコバチの蛹(マミー)に各薬剤を処理した場合、DMTP乳剤等の非選択性殺虫剤ではハチの羽化阻害作用が認められ(表1)、茶園においても非選択性殺虫剤のチビトビコバチに対する悪影響が示唆される。
2. IGR剤のチビトビコバチ成虫と蛹に対する殺虫作用はほとんどなく、これらの薬剤の本天敵に対する影響は少ない(表1)。
3. ネオニコチノイド系剤のチビトビコバチ成虫に対する殺虫作用は、剤の種類によって大きく異なり、殺虫作用の弱い剤については本天敵に対する影響は比較的少ない(表1)。
4. 殺ダニ剤のチビトビコバチ成虫と蛹に対する殺虫作用は、剤の種類によって大きく異なり、殺虫作用の弱い剤については本天敵に対する影響は少ない(表1)。
5. 殺菌剤のチビトビコバチ成虫に対する殺虫作用はなく、本天敵に対する影響は少ない(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. チビトビコバチの活動が期待できる茶園では、有機リン剤など影響の強い薬剤の散布はできるだけ控え、IGR剤など影響の少ない薬剤を使用する。特に、5月中旬、7月下旬および9月下旬のチビトビコバチの羽化する時期の散布には注意する。
2. チビトビコバチ以外の天敵が優占種となっている茶園では、天敵の種類によって農薬の影響は異なると考えられるので、本情報は必ずしも適用できない。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:茶害虫クワシロカイガラムシの環境保全型防除技術の実用化
予算区分:国補
研究期間:2002〜2003年度
研究担当者:小澤朗人
発表論文等:
1)小澤朗人(2002)第12回天敵利用研究会講演要旨p26.

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