茶害虫クワシロカイガラムシ用農薬散布器具の特性


[要約]
1000L/10aの散布量で各散布器具ともに茶株内全体にかけることができる。薬液は半面型一段アーチでは上部より下部に付着し、突っ込み噴口では中央部に集中して付着する。半面型一段アーチ、棒状ノズル、突っ込み噴口のいずれでも防除効果に違いはみられない。

[キーワード]チャ、クワシロカイガラムシ、散布器具

[担当]静岡茶試・病害虫研究
[連絡先]電話 0548-27-2885
[区分]関東東海北陸農業・茶業
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 クワシロカイガラムシ用の農薬散布器具は各種考案・販売されているが、それぞれの器具の特性については調査されていない。そこで、各器具の樹幹内での薬液付着の位置や量を感水紙の反応程度により調べるとともに、防除効果についても明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 半面型一段アーチでは、散布量が増えるに伴い茶株内への付着率は均一になるとともに高まったが、1000L/10a以上の散布では付着率の増加はみられない。また、茶うね上部両端の散布むらは1000L/10aを2回にわけ、半量ずつうねの両側から散布することで減らすことができる(図1)。
2. 半面型二段アーチ、棒状ノズル、全面被い多孔型を用いた場合も、半面型一段アーチと同様に散布量が1000L/10aを超えても付着率は変化しない(データ省略)。
3. 半面型の二段アーチは一段アーチと同じような傾向を示すが、他の2種についてはやや散布むらを生じる(図2)。
4. 突っ込み噴口では、薬液の水平方向への到達距離は30cm程度であるとみられる。また、垂直方向では葉層から下35cm付近が最も付着しており、その上下では付着率が減少する。茶うねの端では中央に比べ付着率がやや低い(図3)。
5. 防除効果は、うね間散布型以外では、無処理区と比較して有意差があり防除効果がある(表4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本データは、弧状仕立て茶園での試験であり、水平仕立て茶園での付着特性や防除効果は異なる可能性がある。
2. 本試験での防除効果はクワシロカイガラムシ少発生条件下での結果であり、多発生条件下における防除効果は、今回の結果とは必ずしも一致しない可能性がある。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:茶害虫クワシロカイガラムシの環境保全型防除技術の実用化
予算区分:国補(先端技術等地域実用化推進事業)
研究期間:2002〜2003年度
研究担当者:片井祐介、小澤朗人
発表論文等:片井祐介・小澤朗人(2003)茶研報96(別冊):66-67

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