中山間地茶園湧水の硫黄酸化菌を用いた装置による窒素除去


[要約]
硫黄石灰石混合造粒物1500kgを充填した装置に重量で2倍量の茶園湧水3.1t/dayを通水すると、pH5.0前後、硝酸性窒素濃度平均14.8mgN/Lの貯水槽の水は処理後、pH7.1前後となり、硝酸性窒素濃度平均2.2mgN/Lまで低下し、窒素除去率は84.3%に達する。

[キーワード]チャ,中山間地,湧水,硝酸性窒素,硫黄酸化菌

[担当]静岡茶試・土壌肥料研究室
[連絡先]電話 0548-27-2311
[区分]関東東海北陸農業・茶業、関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 中山間地茶園湧水は,pHが低く,硝酸性窒素濃度が高く,水量は多い。中山間地では水田や湖沼は少ないため,茶園湧水はそのまま明きょにより河川に流れ込み,地形連鎖により浄化できる地域も少ない。このため窒素除去装置の設置等,他の方法で窒素除去する必要がある。そこで従属栄養系添加物が必要なく維持・運用が容易なシステムである硫黄/カルシウム系無機資材と硫黄酸化菌を用いた脱窒による大規模窒素除去装置を現地に設置し,その効果を確認する。

[成果の内容・特徴]
1. 本装置は貯水槽1槽と処理槽3槽からなり、各列の処理槽に硫黄石灰石混合造粒物を500kgずつ計1500kg充填し,1列当たり資材の2倍量の茶園湧水3.1t/dayを通水する。各処理槽毎に水を循環させ、冬季は加温し平均水温は21.1度である(図1)。
2. 処理前であるpH5.0前後の貯水槽の水は、処理1槽目で急激に高まり,3槽目でpH7.1前後になる(図2)。
3. 処理前である貯水槽の平均14.8mgN/Lの硝酸性窒素は、第1列では平均2.2mgN/Lまで低下し、窒素除去率は84.3%に達する。1日当たり資材1kg当たり窒素除去量は20〜30mgN/kg/dayで平均24.9mgN/kg/dayである(図3表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 処理槽内の汚泥による目詰まりが発生すると処理能力は低下する。
2. 槽内に溜まった汚泥の処理を考慮した槽の構造の検討が必要である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:中山間地の茶栽培地域における施肥の環境への影響評価と環境負荷軽減
予算区分:国補
研究期間:2001〜2003年度
研究担当者:望月康秀
発表論文等:望月ら(2004)日本土壌肥料学会誌75(1):95-98

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