三重県水稲奨励品種の安定的なDNA品種判別法


[要約]
三重県独自育成品種「みえのえみ」、「みえのゆめ」を含む県奨励水稲の10品種について、6種類・2組み合わせのプライマーを用いたPCRによって安定的に識別するDNA品種判別法を確立した。

[キーワード]イネ、水稲、DNA、品種判別

[担当]三重科技・農業研究部・経営植物工学グループ
[連絡先]電話 0598-42-6356
[区分]関東東海北陸農業・生物工学
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 コメの品種判別技術は、すでに「コシヒカリ」、「あきたこまち」等のブランド米については確立されている。しかし、それぞれの県が育成した独自品種については研究対象とされずに残されているものも少なくない。そこで、三重県独自育成の2品種を含む県奨励コメ10品種について、DNAによる安定した品種判別法を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. STS化対合プライマー(大坪ら、2003年)の組み合わせ(マルチプレックスPCR)により、DNAから三重県奨励10品種を互いに判別できる特徴的な識別パターンが得られる(表1)。
2. コシヒカリポジキット(TaKaRa)のプライマーにより、10品種中7品種が判別できる(図1上)。残り3品種(キヌヒカリ、あきたこまち、どんとこい)については、異なる2種類の対合プライマーの組み合わせにより判別できる(図1下)。
3. この方法は、微量しか抽出できない精米1粒のDNAからでも品種判別できる。これにより、1粒ごとに分析することで、サンプルとしたコメの品種別の混合割合を推定できる。
4. 精米1粒からのDNA抽出は、酵素法(大坪ら、2002年)でも可能だが、市販の植物DNA抽出キット(Amersham Bioscience社)を使うことで抽出に要する時間を2/3ほどに短縮できる。
5. 精米1粒からのDNAの場合、純度が低いためにうまく増幅しないことがあるが、抽出したDNAを1晩程度放置して十分溶媒に溶かすことにより増幅する(表2)。
6. 抽出したDNAの原液を使って増幅しない場合、10倍程度に希釈した液を使うと増幅することがある(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 三重県独自育成品種「みえのえみ」「みえのゆめ」をはじめ、生産・販売されている県産米の表示の真偽や立毛状態での他品種混入の有無等を検定できる。
2. 本法については、三重県内の民間分析機関に技術移転を行った。
3. プライマーの種類を増やすことで、全国の主要品種についても判別することができる。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:三重県特産品に対するDNA鑑定・品種識別手法の開発
予算区分:県単
研究期間:2003〜2004年度
研究担当者:橋爪不二夫

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