多酸性清酒酵母FN-7の醸造特性と商品モデルの開発


[要約]
新規育成酵母FN-7は、リンゴ酸生産量が高くピルビン酸生産量が低い特性を有している。FN-7を使用して清酒製造を行うことにより、酸味に特徴のある清酒を製造することが出来る。

[キーワード]清酒、酵母、多酸性、リンゴ酸、ピルビン酸

[担当]福井県食品加工研究所 技術開発研究グループ
[連絡先]電話 0776-61-3539
[区分]関東東海北陸農業・流通加工
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 清酒の消費量はここ数年急激に落ち込み、製造量および酒米販売量もそれに連動して減少しており、対策が求められている。このため、清酒の消費拡大と酒米の生産振興を図るための新たな取り組みが必要となっている。そこで、酸味に特徴のある清酒用酵母の育成と商品モデルを開発する。

[成果の内容・特徴]
1. FK-301(ふくいうらら酵母)を親株として変異株の選抜を行い、酒の味に大きく関与する有機酸の生産量が大きく変化した、新しい酵母(FN-7)を育成した。
2. FN-7を使用して醸造した清酒は、親株に比べて約4倍のリンゴ酸が含まれており、さわやかな酸味を示す。また、FN-7はアルコール生産性が低く、通常の仕込み条件では14%程度で発酵が終了する。(表1)
3. FN-7は、清酒の品質劣化成分であるピルビン酸の生成量が低く、もろみ中のピルビン酸濃度が低レベルで推移する(図1)。このため、上槽時期の許容幅が広く、低アルコール化や品質保持の点で有利な特性を有する。
4. 麹の使用量を調節することで、酸味主体タイプから酸味と甘味を調和させたタイプまで、幅広い商品設計が可能となる(表2)。
5. FN-7の特性を考慮し、酸味主体および酸味と甘味を調和させた2タイプの商品モデルを作成した(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 酸味主体タイプは既存顧客層への展開が、酸味と甘味の調和タイプは新規顧客層の開拓が期待できる。
2. 製成酒のアルコール濃度が低いので、火入れ等の火落ち菌対策を十分に取る必要がある。


[具体的データ]





[その他]
研究課題名:「福井の酒」酵母の開発
予算区分:県単
研究期間:1998〜2003年度
研究担当者:久保義人
発表論文等:Kubo et al. (2000) J. Biosci. Bioeng. 90:619-624

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