大豆の耕起省力栽培法


[要約]
大豆栽培における耕起省力栽培法として、耕起方法を省力化、または中耕・培土を省くと、雑草発生量、倒伏程度は増加するが、生育、収穫作業には問題がなく、狭畦栽培により増収する。たまうららは最下着莢高が高まり、機械収穫作業上の問題がなくなる。

[キーワード]大豆、耕起省力栽培、浅耕・部分耕、無中耕・無培土、狭畦栽培

[担当]栃木農試・作物経営部・作物研究室
[連絡先]電話 028-665-7076
[区分]関東東海北陸農業・総合研究
[分類]技術・普及


[背景・ねらい]
 大豆の慣行栽培法である「全面耕起−播種−中耕・培土」を省力化するには、中耕・培土の省略や、耕起の簡略化が考えられる。中耕・培土には雑草抑制、倒伏防止という効果が有るが、労力的に大きな負担である。また、不耕起栽培には専用播種機の導入、雑草発生といった問題がある。そこで、耕起を前提とした省力栽培法である耕起・無中耕・無培土栽培、及び浅耕、部分耕播種栽培(注参照)についてその栽培性を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 雑草の発生は、標準(全面耕起)、浅耕、部分耕とも中耕・培土を省くと増加する傾向にある(図1)。しかし、他の試験で風乾重100g/m2前後では生育や収穫に影響はないという結果が出ており、問題はないと考えられる。汚粒の発生も見られない。
2. 倒伏は、標準、浅耕とも中耕・培土を省くと増加する傾向にあるが、機械収穫上問題のない範囲である。部分耕では倒伏はない。(図2)。
3. 最下着莢高は、標準、浅耕、部分耕とも中耕・培土を省くと高くなり、特にたまうららは機械収穫作業上問題のない高さ(10cm以上)になる(図3)。
4. 子実重は、標準、浅耕、部分耕とも狭畦栽培(畦幅30cm×株間20cm)を行うと慣行栽培(広畦・中耕・培土有り)より増収する(図4)。
5. 以上、耕起方法を省力化、または中耕・培土を省くと、雑草発生量、倒伏程度は増加する傾向にあるが、生育、収穫作業には問題がなく、狭畦栽培を行うと増収する。また、たまうららは最下着莢高が高くなり、機械収穫作業上の問題がなくなる。

[成果の活用面・留意点]
1. 厚層多腐植質多湿黒ボク土(土性CL)で、タチナガハ、たまうららを用いた試験成績である。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名:大豆の不耕起・高品質・安定多収生産技術の確立
大豆の耕起省力栽培法
予算区分:国庫(地域基幹)
研究期間:1999〜2002年度
研究担当者:新井申、菊池清人、相吉澤秀夫、福田暎


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